2017年04月14日 1473号

【日印原子力協定の国会承認阻止 正念場を闘う】

 インドへの原発輸出に道を開く日印原子力協定(以下、協定)の国会審議が始まろうとしている。「協定」承認を許すか否かの正念場を迎えている。

 コアネットは、「日印原子力協定国会承認反対キャンペーン」(以下、「キャンペーン」)の仲間と共に承認を阻止するため、最後まで闘う。

3・27に1日行動

 協定承認案は、2月24日、衆議院に提出された。3月27日、「キャンペーン」は1日行動を設定し、全交の行動に合わせて、午前中の原発メーカー要請、午後の外務省交渉、院内集会に取り組んだ。

 原発メーカー3社への要請で応対した警備員は「会社からは『要請書は受け取らない』と指示されている」と判で押したような回答だけ。社員は、建物内から外をうかがいながら、私たちに会おうとしない不誠実な対応に終始。それでも東芝では、要請団は警備員に対して要請文を読み上げ、抗議した。

 外務省交渉では、「協定の国会提出を取り下げること。また、協定を白紙撤回し、これにかかる一切の交渉を中止すること」の要請事項と4点の質問を提出し、外務省の見解を追及した。

 焦点となったのが昨年11月11日に協定が署名された際、同時に署名された「見解と了解に関する公文」(以下、公文)の扱いであった。

 公文は、安倍首相が署名するにあたりNPT(核拡散防止条約)に参加せず、核兵器を保有するインドに原子力協力する条件として「インドが核実験を再開すれば協力を停止する」と約束していた内容が含まれているとされた文書である。ところがこの公文には、その内容が明確には記載されていない。該当箇所とされるのは、(@)「インド外相が2008年9月5日に行った声明が協定の下での両国間の協力の不可欠の基礎を成す旨述べた」、(A)「協定第14条(協力停止)の規定を実施するに当たり、(中略)(@)に規定する基礎に何らかの変更がある場合には、日本国政府が同条に定める手続を開始することができる旨述べた」というところである。

 この9月5日の声明とは、当時、開催されていたNSG(原子力供給国グループ)臨時総会で米国がNPTの枠外にあったインドに原発輸出するために「例外扱い」=「事実上の核兵器国と認める」ことを決めた際にインド外相が発表した声明である。

 私たちは、「核兵器国に原子力協力するのか」と交渉で追及したが、外務省は「インドは核兵器を持っていると承知している」「協定はNPTに入っていないインドを実質的に取り込む」としながら、「『インドにNPTに入れ』と要求したのか」の質問には「安倍首相からその旨述べたが内容は公表できない」と回答。その他、再処理を停止させる条項等について「個別の事態により判断される」と具体的な回答を避ける不誠実な態度に終始したのである。さらに、この公文自体も承認案には含まれておらず、「国会承認に資する参考として提出」(外務省)された何の権威も効力もない文書である。

国会へ署名、ファクスを

 院内集会では、阿部知子、逢坂誠二、初鹿明博各衆議院議員(いずれも民進党)、福島みずほ参議院議員(社民党)が出席され、国会内で協定承認阻止に向け、奮闘する決意が述べられた。私たちは、急遽取り組んだ「請願署名」637筆を渡し、共に闘う決意を表明した。

 3月29日現在、委員会への付託は行われていない。しかし、4月中旬には本会議での趣旨説明・質問の後、外務委員会付託がされるとの見通しである。私たちは、ここを当面の山場として、国会傍聴、院内集会、請願署名の継続、抗議・激励ファクス等行動を強化していく決意である。

(コアネット<戦略ODAと原発輸出に反対する市民アクション>三ツ林安治)



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