2017年04月21日 1474号

【モスルの虐殺を止めなければならない イラク労働者共産党/クルディスタン労働者共産党】

 イラク労働者共産党は3月24日、北部モスルでの米軍などによる「対IS(「イスラム国」)戦争」を口実にした虐殺をやめよ、とアピールを発した。要旨を紹介する。

 3月17日、激化する戦争拡大と米国主導の「有志」連合軍空爆作戦がモスル西部のジャディーダ地区を標的にした。多数の家屋が破壊され、地下室に避難していた市民300人以上が殺害され、それ以上が住まいを追われた。この恐るべき犯罪行為は主要メディアも報道せざるを得なかった。現在も、モスルの路上を何百人もの腐乱死体が覆い、誰も死体を埋葬することができない。事態はいまだにモスル市に閉じ込められている住民の精神状態を破壊した。

 モスルを奪還するための戦争は、モスル市と周辺の幾千もの市民の命を犠牲にし、何万人も傷つけ、何十万人もの住まいを奪った。その上、モスル西部で約40万人の市民が閉じ込められている。運良く殺されなかった人びとも飢餓や飲料水の欠乏のために死に直面している。約20万人の市民がすでに住まいを追われ、この惨禍がどれほど大規模で極悪非道かが分かる。モスル市民にとって死から逃れるのは不可能だ。市民は地上の戦闘あるいはミサイルによって殺されるか、飢え死するしかないのである。

 モスル獲得の戦争はISに対する戦争ではない。帝国主義諸国、中東の反動的諸政府、ISのイスラム主義テロリズムによる反動的な計画を追求する戦争である。モスルの大衆はこの戦争の犠牲者であり、命を奪われ、追い出され、破壊されている。

 当初から、我々イラク労働者共産党とクルディスタン労働者共産党は、この戦争の結果大量破壊が行われ、モスルの150万人の市民に対する大量殺戮が行われると警告していた。我々は自由を愛する大衆と進歩勢力にこの戦争に反対する先頭に立つように呼びかける。我々は、この惨禍を終わらせる道は、「対IS戦争」を口実にして解き放たれたこの蛮行に対して、中東とイラクを含む世界中の自由を愛する進歩的人類が先頭に立って反対することで実現されることを確信する。

 我々は、抗議の声を上げ、市民を殺し学校や病院、住居を破壊するこの空爆を即時中止しろと要求しなければならない。我々は、市民の飢餓の原因となり、この地域と世界に対する政治的軍事的経済的支配権獲得のためであるモスル包囲攻撃を即時中止しろと要求しなければならない。

 この残虐行為に関与している連中に対する我々のメッセージは「ISへの協力と、公然非公然の軍事上、財政上、兵站の支援を終わらせ、テロを広めISと思想信条を共有する反動的な政権への支持をやめよ」である。真の解決策、そしてISとイスラム主義のテロの終結は、全世界の進歩的で自由を愛する市民勢力によってのみ勝ち取ることができる。モスル市民にミサイルを発射し爆弾を投下するのではなく、ISへの支援をやめろ。3月17日に起きたことは、モスルで起きていることをメディアが全く報じない中でわずかに明るみに出たものだ。それは、この戦争が始まって以来生み出されてきた悲劇に付け加えられた新たな大量殺害である。これらすべての残虐行為について、いまだに誰も責任を取っていない。

 「対IS戦争」の名で行われるモスルの破壊と住民の大量殺害は人類に対する犯罪であり即時停止しなければならない。米国とその同盟国はこうした残虐行為の責任を取らなければならない。イラクと中東、世界の民衆は、この野蛮行為、空爆、戦争の中で行われているすべての犯罪に対して、最前線に立って反対しなければならない。

 イラク労働者共産党とクルディスタン労働者共産党は大量殺害を強く糾弾し、イラク、クルディスタン、中東、世界の進歩的民衆に対し、この犯罪行為に反対して立ち上がり米国その他の帝国主義諸国による中東への傲慢な介入を終わらせようと呼びかける。全世界の進歩的な人類の緊急の任務は、モスルの民衆に対する空爆を暴露し、糾弾し、終わらせることである。

 2017年3月24日
(翻訳はイラク平和テレビ局in Japan)

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