2017年05月26日 1478号

【朴政権退陣緊急国民行動が声明 新しい政府の発足はキャンドルの完成でなく始まり】

 昨年以来の千数百万人に及ぶ大規模キャンドルデモで朴槿恵(パククネ)前大統領を罷免に追い込んだ朴槿恵政権退陣緊急国民行動は5月10日、文在寅(ムンジェイン)新政権の誕生に以下の声明を発した。

 新政府が発足します。キャンドル広場が成した大統領選挙で、政権交代が実現されました。キャンドル民主主義の力で腐敗した権力を変えた歴史的な瞬間を歓迎します。新政府の前には解決すべき多くの課題があります。

 市民は崔順実(チェスンシル)の国政独占と不正にのみ怒ったのではありません。財閥大企業の優遇による経済破綻、将来がない不安定な生活、弱者と少数者に対する嫌悪、南北関係の歪みと戦争の脅威を経験し、「これは果たして国か?」と嘆くほかなく、今こそ社会全体を変えなければならないと考えキャンドルを掲げたのです。市民は広場に集まって叫んで行動することで、そのような変化をつくり始めました。今回の大統領選挙は、その過程の一つに過ぎません。文在寅政府は行動する市民と一緒に社会を変えなければならない課題を抱えています。

 新しい政府の第一の課題は、「積弊清算」(これまでの体制下で積み重ねられた弊害の清算)です。無断配置されたTHAADを撤回しなければなりません。セウォル号の行方不明者発見と真実究明により力を注がなければなりません。27日を飢えながら光化門広告塔の上で高空籠城をした労働者の声を聞かなければなりません。白南基(ペクナムギ)農民の死(注)の真相を究明し責任者を処罰する必要があります。そして財閥改革とマスコミ改革、検察改革を通じて民主主義を再建しなければなりません。キャンドル政局で国会が積弊清算の課題を適切に実行できなかったため、この課題は文在寅政府に渡りました。非常な覚悟で積弊清算に乗り出さなければなりません。

 今回の選挙で確認したように、朴槿恵政権を支えた勢力、積弊勢力は力を完全に失っていません。これらの選挙の過程で旧態依然のレッテル貼りと少数者嫌悪、戦争不安を流布し、キャンドル革命を霧散させようと試みました。ところが、文在寅大統領は選挙過程で、このような積弊勢力に断固として対応せず、むしろぶれました。新しい政府はむやみに和合と許しを語ってはいけません。新しい社会を一緒に作る人々はこういう積弊勢力ではなく、ろうそくを持った市民であり、汗を流して働いていた労働者と農民であり、積弊勢力に苦しんで涙を流してきた人々のことを忘れてはなりません。

 キャンドル市民は、朴槿恵を弾劾し新しい政府を発足させましたが、今日の選挙が変化の終わりではなく始まりであることを知っています。働く人が尊重され、人権が尊重され、正義・平等・平和が保たれた国をつくるのは、大統領ではなく私たち市民の力だからです。文在寅政府がキャンドル市民に約束した課題を適切に履行するよう、私たちは両眼を見開いて見守るのであり、新たな社会をつくるために必要であれば、いつでも広場に集まり叫ぶことでしょう。市民が政治の主体という事実を、私たちはいつも忘れないでしょう。

2017年5月10日
朴槿恵政権退陣緊急国民行動

(注)2015年11月、朴政権を批判する13万人の民衆総決起集会と大規模デモの際、警察の放水銃で意識不明となった農民ペクナムギさんは翌年9月死亡した。
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