2017年09月29日 1495号

【朝鮮高校無償化裁判 不当判決/子どもたちの笑顔を奪うな/権利を勝ちとるまで闘う】

 東京朝鮮中高級学校の卒業生62人が高校授業料無償化の対象外とされたのは違法と訴えていた裁判で東京地裁は9月13日、請求を退ける不当判決を言い渡した。怒りと落胆をあらわにしながらも「権利を勝ちとるため最後まで闘う」と決意する原告たちの声を紹介する。

 午後2時の判決を前に、裁判所の周りは人波であふれた。82の傍聴券を求めて列を作ったのは約1500人。ほとんどが朝鮮学校の在校生と卒業生、その父母たちだ。

 傍聴抽選に時間がかかり、判決は10分ほどずれ込んだ。法廷から出てきた弁護士が「不当判決」「朝高生の声届かず」の旗を掲げると、悲鳴にも似た泣き声や「日本の民主主義は終わった」の叫び声が。待ち受けていた生徒らは判決への怒りを、この闘いの中で生まれた歌『声よ集まれ、歌となれ』(作詞作曲・朝鮮大学校生)に繰り返し託した。

 「どれだけ叫べばいいのだろう/奪われ続けた声がある/聞こえるかい?/聞いているかい?/怒りが今また声となる…/声を合わせよう/共に歌おう」

 裁判所内で記者会見に臨んだ原告の女性は「後輩たちがさらにつらい思いをすると考えると、胸が張り裂けそう。悔しい思いでいっぱいです。でも、きょう裁判所の外にいてくださった在日や支援の日本の方がたが希望につながっていく。絶対にここで終わらない」ときっぱり。

もう泣かない、前を向こう

 同じく原告の男性は「判決を言い渡した裁判官が(「請求棄却」「訴訟費用原告負担」の)二つの文章だけで法廷を去れるのか、ここに来ているみんなの気持ちを考えて判決を書いたのか、不思議だ。民族教育を否定し、日本で朝鮮人として堂々と生きる権利すら奪ったこと、これから朝鮮人として暮らす子どもたちの未来、笑顔をすべて奪った判決に私は憤りを隠せない。権利を勝ちとるために最後まで闘いぬく」と語った。

 夜に開かれた判決集会では、在校生が発言。勝つ前提でしか原稿を準備していなかったという高校3年の女子生徒は「涙が止まらなかった。先生が『この子たちのこんな顔を見るのはつらくさびしい』と。私は『もう泣くのはよそう。前を向こう』と思い、新たな決意を固めた。それは、今度は私たちが後輩たちのために闘い、ウリハッキョ(私たちの学校)を守りぬくこと。大好きなウリハッキョを後輩たちに受け継ぎたい」。大きな拍手が寄せられた。

 東京朝鮮学校オモニ(母)会の女性たちもマイクをとる。「日本に正義はあるのでしょうか。私たちも日本の社会を構成している人間です」「子どもの尊厳が踏みにじられている。子どもたちの未来のために闘わずしてここで座っているわけにはいかない」「倒されたら起きればいい。明けない夜はない」

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS