2017年10月20日 1498号

【安倍政権公約 金儲け至上と大失業の生産性革命・人づくり革命】

 自民党は10月2日、政権公約を発表。「アベノミクス加速」として「『生産性革命』『人づくり革命』の二つの大改革で、経済の好循環を完遂する」とぶち上げた。だが、安倍の「生産性革命」「人づくり革命」とは、すべてをグローバル資本の金儲けにつぎ込み、教育と人間を企業が稼ぐ機械に作り変えるとんでもない革命≠ノ他ならない。

資本の危機感に応える

 「生産性革命」は、安倍内閣が2015年6月に閣議決定した「日本再興戦略・改訂2015」のサブタイトルとして登場した。「未来への投資・生産性革命」は、(1)「稼ぐ力」を高める企業行動を引き出す(2)新時代への挑戦を加速する(3)個人の潜在力の徹底的な磨き上げとされ、鍵となるテクノロジーとして「IoT(Internet of Things<モノのインターネット>)・ビッグデータ・人工知能(AI)」が挙げられた。

 安倍は「ロボット、IoT、AI。生産性を劇的に押し上げる最先端のイノベーションが、世界を一変させようとしている」「この生産性革命を我が国がリードすることこそ、次なる成長戦略の最大の柱」(9/25)と述べる。

 すべての機器をインターネットに繋ぎ、ビッグデータを集積し、AIを使って解析することで莫大な利益を生み出す第4次産業革命=B

 ドイツでは、2013年から製造業の生産性向上を狙う「インダストリー4.0」が開始された。工場の生産ラインの個々の機器に至るまでインターネットに接続され、異なる企業の間にも伝達。企業間の部品供給なども自動化されるというものだ。

 米国企業は、グーグルに代表されるように民生用のIoT機器の販売などで、老人から乳幼児、ペットまでセンサーを通じて直接インターネットに結びつけ、と同時にそれらのビッグデータを活用して莫大な利益を上げる販売戦略を採用している。

 この第4次産業革命≠ノ乗り遅れているという日本のグローバル資本の危機感に応えるのが、安倍の「生産性革命」である。

AIで代替は1千万人

 総務省は、情報通信白書(2016年版)で「AIの進化が雇用等に与える影響」として「米国の職業701種について、将来AIや機械が各職業を代替することができる技術的な可能性を分析した研究では、就労者の47%が代替できる可能性の高い仕事に従事と指摘。日本に当てはめた場合、将来AIや機械が代替することができる可能性が高い職業が49%であるとされた」と報告している。

 総務省の出した数字は、AIの普及に伴って日本全体の失業者の数が1千万人、あるいは2千万人を超える事態にもなる可能性を示す。

 AIはまた、原発と同様、データの集積が無限化し人間のコントロールが効かなくなるという問題もはらんでいる。

 しかし、政権公約では、日本社会を一変させかねないそうした危険性を一切市民に明らかにしない。

教育も全面再編

 安倍の「人づくり革命」は、ひとえに「生産性革命」に従属している。AIやIoT、ビッグデータに必要な労働力を作り上げるものだ。

 安倍は、国立大学を「学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な職業教育を行う場所にする」よう主張する。

 「日本再興戦略」(3)個人の潜在力の徹底的な磨き上げの内容は「変革の時代に対応した…実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関を制度化する。時代を先取りした学校教育と職業教育の新たな融合形態を作り上げることで、これからの時代を担う『職業人としてのプロ』の育成を促していく」とある。今後の教育を企業の利潤追求にのみ突き進む人間の育成手段に作り変えようとするものだ。

 同戦略では「生産性革命」にとって必要な労働法制を、残業代ゼロ・裁量労働制拡大、解雇の金銭解決ルールとして明記している。ところが、公約の「働き方改革」では、これらの労働法制について一切記載されていない。安倍は本当に卑怯だ。

 小池・希望の党の公約も「成長戦略」部分では、「AI、ビッグデータ活用で競争力を高めるため、専門人材の育成、獲得」と瓜二つだ。

 金儲け至上で大失業をつくり出す安倍・自民や小池・希望らに、衆院選で市民の審判を突きつけ、改憲を阻止し、労働法制第改悪を阻もう。

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