2018年02月23日 1515号

【防衛大綱見直しを表明/巡航ミサイル・空母保有許さない/暴走する安倍の戦争と改憲にNO!】

侵略軍化を加速

 1月23日、安倍内閣は今年末までに「防衛計画の大綱(防衛大綱」を見直すことを明らかにした。防衛大綱は自衛隊の軍事戦略を明示する政府の文書だ。これに伴い自衛隊の兵器調達の5年計画である「中期防衛力整備計画」(中期防)も見直す。

 大綱は第二次安倍内閣では2013年に見直され「島嶼(しょ)防衛」を前面に打ち出した。今回の見直し理由は「朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核・ミサイル技術の進展」「中国の海洋進出」「宇宙・サイバー対応」を挙げた。

 前日の22日、安倍首相は施政方針演説で防衛大綱見直しに関し「専守防衛は大前提としながら、従来の延長線上ではなく国民を守るために必要な防衛力のあるべき姿を見定める」と述べた。

 安倍は戦争法を強行し、同盟国への攻撃を自国の攻撃とみなし先制攻撃を可能とする「集団的自衛権行使」を可能とした。すでに「専守防衛」は飾りに過ぎなくなっている。現に昨年4月、海上自衛隊は集団的自衛権行使に連なる「米艦防護」を実施した。航空自衛隊も米空軍戦略爆撃機B1を複数回護衛した。

 大綱と中期防見直しで安倍が狙うのは、一層の攻撃兵器調達による急速な自衛隊の侵略軍化だ。それが安倍政権下の「従来の延長線上」ではない大綱見直しであり、加速される9条改憲の動きと一体のものだ。。

違憲の空母保有

 昨年末、新聞各紙は最新鋭ステルス戦闘機F35Bの導入による「いずも」型護衛艦の空母化計画を報じた。計画では「いずも」にF35Bを10機搭載する。

 F35Bは、1月26日に航空自衛隊三沢基地に初配備されたF35Aの派生型。「A」と異なる点は、STOVL(ShortTakeOff/VerticalLanding[短距離離陸垂直着陸])機だ。可動式のエンジン排気ノズルを下に向け上昇用のファンを回し翼の揚力を補助することで短距離離陸を可能とする。燃料と弾薬を使用し軽量となった帰投時には垂直着陸が可能だ。

 海上自衛隊の「いずも型護衛艦」は「いずも」「かが」の2隻だ。艦首から艦尾まで平らな「全通甲板」を持つ。「いずも」の前身である「ひゅうが」を建造した時、空母化の恐れを指摘された政府は「ヘリ搭載型護衛艦」だと強弁してきた。憲法第9条の下で、侵略兵器である攻撃型空母の保有は不可能との政府見解があったからだ。




「防衛目的」は嘘

 だが、「ひゅうが」の建造計画が決定された2000年にF35の実証機が飛んでいる。建造が開始された2006年には、F35の量産機製造が開始された。そして「ひゅうが」のあと建造された「いずも」は全通甲板を246mに大型化。F35Bを載せた米海兵隊の強襲揚陸艦とほぼ同じ大きさで、アジア太平洋戦争時に日米両軍が持っていた空母に匹敵する。攻撃型空母保有を視野に入れていたのは間違いない。

 各紙にリークした「政府関係者」はF35B導入を「離島防衛のため」と述べる。だが、真っ赤な嘘だ。

 米軍・自衛隊基地が集中する沖縄島と最西端の離島・与那国島までの距離は640q。「いずも」の最大速力は35ノット(時速65q)だから近海まで10時間かかる。一方、航空自衛隊のF35Aの速度はマッハ1・6(時速1975q)で20分で与那国島に到達する。10時間で10往復できる。「離島防衛」に「いずも」の空母化など必要ないことを政府・防衛省は百も承知だ。本当の狙いは、将来、辺野古新基地から自衛隊水陸機動団(日本版海兵隊)が他国に殴り込む際の空からの支援だ。

3000万署名で改憲阻止

 安倍は1月25日、衆参両院の代表質問で長距離弾道ミサイル保有について「憲法上保有が許されない兵器との指摘は当たらない」と答弁した。「自衛隊機が相手の脅威の圏外から対処できるようにすることで、隊員の安全を確保しつつ我が国を有効に防衛するために導入する」というのがその説明だ。「島嶼防衛のための防衛用ヘリ空母」と偽り、いったん建造さえすれば戦闘機搭載の攻撃空母に改修するのと同じ手法だ。

 あらゆる兵器に攻撃用・防衛用の区別はなく、破壊と殺戮(りく)をもたらす。従来の政府見解をことごとく覆し、カネに糸目をつけず侵略兵器を次々と配備する。

 安倍9条改憲は、戦力不保持を死文化し、他国を侵略する戦力を公然と合憲化する。それを止めるのが「9条改憲NO!3000万人署名」だ。

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