2018年02月23日 1515号

【みる…よむ…サナテレビ(472)/2018年2月10日配信 イラク平和テレビ局in Japan/若者を育てるのは社会の責任】

 イラクでは若者の人口が多い。より良い社会を作り上げていくためには、若者を育て社会で積極的な役割を果たせる機会を作っていかなければならない。2017年11月、サナテレビはこの問題について専門家にインタビューを行った。

 インタビューに答える人材開発の専門家は、イラクの社会が若者をどのように育てているのかについて問題提起する。何よりも強調するのは、政府は若者を社会に役立つ人材として育てるための計画すら持っていないことだ。

 イラクにも青年スポーツ省や高等教育省が存在する。ところが、青年スポーツ省は「若者のリクリエーションを担当しその活動の準備をする政府機関なのですが、役に立っていません」。大学を担当する高等教育省も「全くそんな事業をしていません」という状態だ。

 若者を社会的に育てる計画や事業もある。成果も出ている。ただし、すべて個人的に実施されている取り組みだ。全くの個人任せ、民間任せになっている。

 「この問題に関心のある適任の政府機関はありません」というのがこの専門家の結論である。医療や他の社会サービスにとどまらず、若者を育てる分野でも政府の無策ぶりはひどい。

 ある市民は「今の治安状況は、勉強や労働など、未来と生活をより良く築くために自己発展する権利を与えていません」と批判する。これでは若者に絶望しか与えないことになる。

 この男性は「良い政府があって、治安状態や友人が良好なら、正しい道を開いていくことができます」と主張する。こうした点は、若者から希望と展望を奪い、絶望感を与えて戦争への道に駆り立てようとする安倍政権のやり方とも共通性がある。

 アバディ政権は、国営企業の縮小や閉鎖を進め、若者が就職する機会を奪っている。教育内容も宗教学習を増加させて強制し、社会に対する批判を押さえ込もうとしている。社会で積極的に活動する機会も作っていない。サナテレビはこのような政府の姿勢を転換するために声を上げようと呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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