2018年03月02日 1516号

【沖縄 今度はオスプレイ部品落下 被害を無視する日米両政府 新基地止める闘い続く】

 2月9日午前9時頃、うるま市伊計島の大泊ビーチ近くで、今度は米軍普天間基地所属のMV22オスプレイの部品が見つかった。伊計島では先月、同じ普天間所属UH1Yヘリが不時着したばかりだ。

 浅瀬に浮かぶ漂着物を見つけた男性は「最近米軍機の事故が多く、ここにも落としたのかとすぐに思った」と語る。部品は、重さ13`、縦70a、横100a、幅65aでオスプレイの右側エンジン、空気取入れ口の一部という。

「もうがまんの限界だ」

 オスプレイ部品の落下に、住民は「言葉も出ない。オスプレイはビーチ周辺を日に5〜6回以上飛んでいる。こんなのが頭の上に落ちるとよけられない」「静かな海を返して」と憤る。

 事故発生時の通報手続きに関する日米合同委員会合意(1997年)では、事故発生時「情報を直ちに提供することが重要」とされている。「危険物の落下」についても明記しているが、日本側に通報していなかった。沖縄防衛局が8日の普天間飛行場離着陸機の撮影画像や飛行データを解析した調査で、普天間に戻ってくる部品のないオスプレイ≠確認。9日午後、米軍に写真を示したところ3時間後にようやく認めた。

 玉城伊計自治会長は「(部品が落ちたのが)海で良かったでは通用しない。もっと大きな事故が起きれば取り返しがつかない」と指摘。島袋うるま市長は、謝罪に訪れた中嶋沖縄防衛局長に「われわれはもうがまんの限界だ。今はモズクの最盛期。漁船との衝突事故も起きる可能性が大きい。住民が発見して初めてあからさまになる。こんなばかな話はない」と迫った。

 県は9日午後、在沖米海兵隊に抗議し、オスプレイの飛行停止を要求した。13日には外務省沖縄事務所の川田大使らを呼び、「頻度が高く異常としか言えない」と強く非難。米側から部品落下の報告がなかったことを踏まえ、経緯の検証と公表、在沖米軍の全航空機の点検とその間の飛行停止、航空機整備や安全管理体制の抜本的な見直し、米側への働きかけを求めた。

 しかし、オスプレイは13日、停止要請を無視して飛行を再開した。まさに無法状態だ。


命より新基地の安倍

 宜野湾市(ぎのわん)の緑ヶ丘保育園父母会のメンバーと神谷園長ら7人は2月13日、昨年12月米軍大型輸送ヘリの部品落下事故についての署名12万6907筆と陳情書を政府に提出した。(1)原因究明と再発防止(2)原因究明までの飛行禁止(3)保育園上空の飛行禁止の3点の陳情に対し、防衛省、外務省、内閣官房の担当者は「安全確保が大前提。地元への影響が最小限になるよう申し入れたい」と答えるにとどまった。

 翌14日に日本外国特派員協会での会見で、父母会の知念副会長は「私たちは子どもの命が危ぶまれた当事者。保育園の上空を飛ばず、合意された飛行ルートを守ってほしいと求めているだけ。グアムや辺野古移転で当事者を増やしたいとは思わない」と基地と隣り合う暮らしを強いられている怒りを語った。

 緑ヶ丘保育園の署名提出と同じ13日、渡具知(とぐち)名護市長は就任6日目に首相官邸を訪れ、異例の厚遇を受けた。安倍首相は「公約については政府もしっかりと応援していく」と応じた。「新基地建設問題では双方とも踏み込んだ発言はなかった」(2/14琉球新報)と報じられたが、墜落事故や部品落下にもふれていない。命や安全は関心の外なのか。

 翁長(おなが)知事と官房長官の初会談実現は就任4か月後だ。この違いは何なのか。県関係者は「辺野古を認めない県の予算は削り、認めれば振興策を提示する。ここまであからさまな行政運営があっていいのか」と強い疑問を示した。

県議会で新基地反対誓う

 2月14日、沖縄県議会2月定例会が開会した。翁長知事は所信表明演説で「辺野古に新基地は造らせないことを県政運営の柱に全力で取り組み、来年2月に期限を迎える米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止を政府に求める」と強調した。雇用と経済の改善、子どもの貧困、離島振興などの課題解決にも意欲を示した。

 オスプレイ部品落下を受け、議会の米軍基地関係特別委員会は15日、事故の原因究明や再発防止に加え、普天間の運用を直ちに停止することなどを求める抗議決議と意見書の提出を決め、21日本会議では全会一致で可決された。米軍関連の事件・事故に対する抗議決議、意見書は5か月連続となる。

 これほど事件・事故が続いても、日米両政府は命も安全も全く顧みない。新基地反対、基地撤去を求める民意は、強まることはあっても衰えることはない。その思いを背に、辺野古では今日も座り込み、海上抗議が続く。  (H)

 
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