2018年03月09日 1517号

【1517号主張 9条改悪を許さない 地域から3000万署名のうねりを】

改憲発議急ぐ安倍自民党

 安倍・自民党は、改憲案のとりまとめへ急ピッチで作業をすすめている。自民党憲法改正推進本部は、3月25日の党大会までに改憲案を策定し、国会論議に持ち込んで早期の発議をもくろむ。狙いは、憲法9条を改悪し、戦争国家体制を整備することにある。

 戦争法によって、政府の恣意的な判断で集団的自衛権の行使=他国への一方的な武力行使を行うことが可能とされた。しかし、9条の下では、集団的自衛権の行使は明らかな憲法違反であり、常にその違憲性について追及を受ける。安倍政権は、この状況を変えるため、9条を改悪し、戦争法と武力行使する自衛隊を合憲化することで、名実ともに「戦争する国」をつくりあげようとしている。

軍と住民は共存できない

 世論は9条を含めた憲法改悪に慎重だ。毎日新聞の世論調査(2/24〜2/25)によれば、憲法改正について「年内に発議する必要はない」の回答は50%に上った。だが、安倍は「自衛隊を明記しても何も変わらない」とごまかし改憲への合意形成を狙っている。同世論調査では、自衛隊を明記する改憲に関して、「9条の1項と2項はそのままにして自衛隊に関する条項を追加する」支持が37%、「9条の2項を削除」支持が14%と、あわせてほぼ半数に達する。9条改憲の狙いを暴き、阻止する重要性を多くの市民に伝えることが大切だ。

 同時に、軍隊は住民を守らないという沖縄戦の教訓に学び、戦力不保持=軍事力を認めない9条の今日的意義をいっそう広めていく必要がある。今、全国で自衛隊機・米軍機の事故が相次いでいる。2月5日、陸上自衛隊の攻撃ヘリが佐賀の住宅街に墜落。9日、沖縄で米軍オスプレイの部品が落下した。20日には青森・小川原湖に米軍F16が燃料タンクを投下。湖では約10隻のシジミ漁船が操業していた。日米軍事一体化で演習を激化させる米軍・自衛隊によって、沖縄・全国で住民の命や生活が脅かされている。軍と住民は共存できない。

憲法を生かすことこそ

 政府は朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の脅威をあおりたててきたが、南北対話の中で、朝鮮の代表は米朝対話へ十分な用意があると言及した。こうした状況は、戦争を回避し対話を求める国際世論と韓国をはじめ市民の運動・世論によって生み出された。対話による解決こそ、「諸国民の公正と信義に信頼」(前文)し、交戦権を放棄した憲法の精神に沿う。日本政府は、日朝・米朝会談、6か国協議の再開へただちに行動すべきだ。

 必要なのは、戦争をあおることや9条改悪=戦争体制づくりではない。憲法の理念を生かし、外交努力と市民の国際連帯で、緊張緩和と非核化を前進させることだ。軍事費を削り、福祉・教育・雇用の充実に回して貧困・格差問題の解決を推進し、憲法で定められた生存権保障を実現することである。

 改憲阻止へ世論を動かす鍵は、地域のすみずみに安倍9条改憲NO!憲法を生かす3000万署名を広げ、平和も人権も生活も破壊するアベ政治に憤るさらに多くの市民と対話することにある。9条改憲ノーの圧倒的な民意を築き、改憲阻止、安倍政権打倒へと進もう。

       (2月26日)
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