2018年03月09日 1517号

【朝鮮学校「無償化」裁判/東京高裁逆転勝利へ「再決起」集会/3月20日、控訴審スタート】

 第2次安倍政権が初仕事として強行した、高校無償化制度から朝鮮学校だけを排除する決定(13年2月)。その撤回を求めて全国5地裁に起こされた訴訟は昨年、大阪(7/28)で画期的な勝利判決をかちとる一方、広島(7/19)と東京(9/17)では原告の請求を退け、文部科学省の決定を擁護する不当判決となった。

 「東京朝鮮高校生の裁判を支援する会」などは3月20日に始まる控訴審を前に、2月18日都内で「高裁での逆転勝利へ!再決起集会」を開催。会場を埋める380人が参加した。

 弁護団が控訴審の争点と展望について報告。朝鮮学校を対象から外した文科省令改定は教育の機会均等と無関係な政治的外交的理由によるもので違法であること、朝鮮学校の運営は法令に基づき適正に行われていることなどを高裁の審理を通じて明らかにしていく重要性が強調された。

 師岡康子弁護士は「集会標題に『再決起』。再度立ち上がらなければいけない時代を私たちは生きている。朝鮮学校の姿、実際の教育内容や子どもたちの生活を知らせることで、裁判官には最低限事実を知った上で法律に基づいて判断してほしい」と述べた。

 国連人権諸機関は日本の朝鮮学校差別問題に何度も懸念を示し、勧告を出している。昨年11月の人権理事会UPR(普遍的定期的審査)でも、日本政府に「マイノリティの子どもたちの差別なき教育権確保」などを促す勧告が採択された。ロビイングしてきた在日本朝鮮人人権協会の朴金優綺(パクキムウギ)さんは「各国の外交官に資料を見せると、『本当に朝鮮学校だけ除外したのか。21世紀にそんなあからさまなことをしていいのか』といった反応が多かった」と伝え、「今年8月の人種差別撤廃委員会、9〜10月の子どもの権利委員会による審査でも、日本政府は勧告の履行状況を厳しく問われる」と話した。

 東京朝鮮高校の在校生2人が「私たちの学ぶ権利を否定することは日本の、東アジアの歴史を否定すること。朝鮮民族には悔しさを大きな連帯へと昇華させる力がある。私たちは諦めない」「どんなに踏みにじられようと何度も立ち上がる同胞たちの背中を見て育った。権利は闘い、かちとるもの。ともに抱き合い、喜ぶその日まで闘い続ける」と決意を語った。

 控訴審第1回口頭弁論は3月20日、東京高裁にて(14時15分集合)。

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