2018年03月14日 1518号

【福島原発刑事訴訟第4回公判/「津波高、小さく」東電依頼/設計子会社社員が証言】

 福島原発事故の巨悪を裁く―強制起訴された東京電力旧経営陣3人の第4回公判が2月28日、東京地裁であった。事故の3年前に津波の高さを算定し、東電に報告した子会社「東電設計」の社員が証人として出廷した。

 被害者代理人の立場で法廷に臨んだ海渡雄一弁護士は公判後の報告集会で、「証人は東電の津波対策を実務として担当した人。その証言で、津波高の計算が耐震バックチェック作業のためだったとはっきり認めた。これは決定的で、計算結果の最大高さ15・7bが設計基準津波になるのは当たり前のこと。そうしなかったことの明確な理屈付けがない限り、完全にアウトだ」と証言の意義を指摘。

 甫守(ほもり)一樹弁護士からは「午後の尋問で東電が『15・7bは大きすぎるから何とか解析で小さくならないか』と東電設計に再検討を依頼していたことが明らかになった。東電設計は『土木学会の手法にのっとっているので数値は変更できない』と突っぱねたらしい」と報告があった。東電は津波対策先送りのアリバイ作りを子会社に指示していたことになる。

 福島原発刑事訴訟支援団の武藤類子副団長は「双葉病院で家族を亡くした方も傍聴し、『入廷する被告人の顔を見て怒りがわいてきた』と言っていた。この裁判が一つでも真実を明らかにし、被害者が『よかった』と思える結果になるよう願う」と話し、厳正な判決を求める署名と4月からの連続公判の傍聴に協力を呼びかけた。

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS