2018年03月21日 1519号

【原発事故から7年 学校・保育園の放射性汚染土は今 まだ何も解決していない くらしに憲法を!タウンミーティング 横浜・鶴見区】

 福島原発事故の放射能が降り注いだ校庭・園庭の土は一体どうなったのか。放射性汚染土問題の現状を話し合おうと2月24日、横浜市鶴見区で「平和と民主主義をともにつくる会・かながわ」の「くらしに憲法を!タウンミーティングpart3」が開かれた。「神奈川・子どもを守りたい」の川島みどりさんに報告を寄せてもらった。

 共同代表の青島正晴さんから、原発・被曝問題のおさらいと3・11当時教師として除染をいち早く行った学校現場の貴重なお話があったあと、横浜市の学校・保育園の放射性汚染土の現状に移った。

 横浜市の除染基準値は空間線量率1bで0・23μSv/時または1aで0・59μSv/時。年約6_Svで、公衆の被曝限度年1_Svをはるかに超える。基準値は放射線対策本部会議という議事録なし、非公開の秘密会議で決められる。市が繰り返す「基準値以下だから安全」の根拠は市民にはわからない。

 学校・保育園を除染して発生した放射性汚染土と雨水利用施設内に溜まった汚染された泥。前者はビニール袋に、後者はドラム缶に入れ、子どもたちの生活の場である教育施設の一角に放置した後、市は保護者・市民に知らせないまま、除染土を敷地内に埋め戻してよいと指導した。

 これが2014年に発覚。マスコミに大きく取り上げられた。市は16年8月、鶴見区に保管庫を新設し、教育施設内から移動させると決定。昨年3月、市の指導に従わず除染土を埋めなかった、またはドラム缶を保管していた学校・保育園だけ敷地内から保管庫へ移管した。

 現在、移管済みの保育園は17園、学校69校。覆土10aで埋設したままの保育園が300園、学校4校。放射線の影響を受けやすい小さい子どものいる保育園で、汚染土を埋めたままの施設数が圧倒的に多い。信じられないことに、保管庫に移動するかどうかは除染基準値とは関係なく、埋めてあったかなかったかで振り分けられたのだ。さらに市は、埋めてしまった保育園300園と学校4校は処分済みとし、そこを永久処分場とする決定をしてしまった。

一貫した情報隠し

 当初から一貫している横浜市の姿勢は、(1)空間線量率の計測だけで安全と判断し、除染土壌の核種検査(ベクレル測定)をしない(2)保育園の現状を明確にしない(埋設報告書非公表、本当に埋設してあるかも不明)(3)保管庫に移動した汚染土の容器の個数を公表しない(知らないうちに廃棄・焼却・再利用されてもわからない)―というものだ。

 実際、基準値以下なので埋設可とされた土を市議が持ち帰り測定したところ2万4000Bq/`cの猛烈な汚染があった。この土は保管庫の8000Bq/`c以下の市管理の部屋に搬入された。市民の命や健康に関わる情報を出さず、できる限り隠すという姿勢は徹底している。

 昨年3月の保管庫への移管作業も同様で、公表されたのは直前に日程のみ。作業時間帯、作業内容、移動ルート等については「市民に教えない」ことが作業前日に決定された。それでも作業順を予測し手分けして86施設中約20施設で監視活動を行った。

 その際、市の担当者は「危ないのでお母さんたちは学校の門の中に入らないでください」。横を子どもたちがすり抜けて校内に入り、トラックの横で部活動をしていたのだ! 危ないならなぜ子どもを入れるのか? 市は子どもの命を守るのではなく、自分たちに都合のいい仕事だけをしていることがはっきりわかる出来事だった。

 あなたは、根拠が全くわからない「安全だ」という市担当者の言葉を無条件に信じて子どもの命を預けることができますか?

根拠もなく「安全」

 タウンミーティングでは、福島県南相馬市から避難している山田俊子さんのお話もうかがった。福島では年20_Svが「安全」とされ、避難の必要なしと住宅補助が打ち切られ、やむなく帰還した家族が50組あったそうだ。過酷な環境での生活を強要される悲痛な思いが伝わってきた。

 国と自治体のしていることは同じ。根拠を示さずに「安全」と言い、基準値はどんな値にすることもできる。肩書や地位のある人が「安全」と言っているからと信じてしまったら命に関わる国に、私たちは生きているのだ。

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