2018年03月28日 1520号

【道民不在のJR路線廃止阻止 切り捨て許さず道政転換へ 全道連絡会が初の全道署名開始】

 「北海道の鉄道の再生と地域の発展をめざす全道連絡会」は3月8日、札幌市内で記者会見。4月末を期限に全北海道で50万筆を目標に、JR北海道が自社単独では維持困難とした10路線13線区等の路線維持を求める署名行動をスタートさせると発表した。

 会見では、全道連絡会代表の宮田和保・北海道教育大名誉教授が署名内容を説明。(1)鉄道を道路、港湾、空港と同様に社会資本と位置づけ、維持・再生に国が責任を持つ(2)北海道全体の鉄道網のあり方について全道民に開かれた議論を行い、十分時間をかけて結論を出す(3)国の抜本的支援を引き出すため、北海道の鉄道路線の維持・再生のために先頭に立つ―の3点を高橋はるみ・北海道知事に求めることが目的であると述べた。

 また、「(10路線13線区の)沿線自治体に廃止を容認する声はない」として、署名が事実上全路線の維持を求めるものになるとの認識を示した。

 会見参加者からは、JR北海道と沿線地域との意見交換がほとんど非公開のまま密室で行われている点に強い批判が集中した。国鉄分割民営化当時に行われた特定地方交通線(廃止対象路線)沿線と国鉄との協議会では、関係自治体のほか観光協会、自治会、PTAの関係者も参加して幅広い議論がされた。それと大きく異なっている。2016年11月、JR北海道が路線等を公表して1年以上経過したにもかかわらず、JR北海道と沿線自治体との協議が進まない背景にこうしたJR北海道の非民主的な姿勢がある。

地方切り捨てとの闘い

 焦りを募らせるJR北海道は、路線問題を向こう1年以内に決着させるとの態度を表明。北海道庁も、表面上は「路線ごとの選別協議はしない」としながらも、今年2月には10路線13線区を重要度別に5段階に区分する報告書をとりまとめるなど、沿線分断の動きを続ける。今回の署名は、国の「出先機関」化して安倍政権の新自由主義的地方切り捨て政策に追随する高橋道政に道民の要求を突きつけ、道民本位の道政に転換させる重要な闘いとなる。

 北海道の人口は2月現在で538万人。北海道民の11人に1人に相当する署名を1か月半で集めきるという意欲的な目標だ。北海道の人口の約4割が札幌に集中する現状を考えると札幌でどれだけ集められるかが鍵を握る。

 国鉄分割民営化から30年、アジア金融危機の影響による1997年の北海道拓殖銀行経営破たんから20年。北海道は経済も社会も衰退の一途をたどってきた。この流れに歯止めをかけるためにも、署名を道民全体の闘いにすることが必要だ。

◆署名等連絡先

北海道の鉄道の再生と地域の発展をめざす全道連絡会
060-0061 札幌市中央区南1条西5丁目 愛生舘ビル5F さっぽろ自由学校「遊」気付 TEL011-252-6752
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