2018年04月06日 1521号

【みるよむ(478)2018年3月24日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラク市民は国民議会選挙を拒否する】

 この5月、イラクで国民議会選挙が行われる。2018年1月、サナテレビはバグダッドの市民に選挙の問題点を語ってもらった。

 2003年のイラク侵攻・占領から15年が経過した。サダム・フセイン独裁政権は打倒され、民主主義が導入されたと宣伝された。イラク国民議会選挙も3回にわたって実施されている。しかし、その実態はどうなのか。

 インタビューに答えるジャーナリストは、イラクの主要政党が「若手を並べた小政党を作って、そのあとに大きな伝統的政党と合併して選挙連合を作る」―そんなやり方で議会の多数派を占め支配を続けていることを指摘する。

 日本でも、市民の批判をかわすために新政党を作り、実際には政権の政策を補完、推進するという動きが後を絶たない。しかしこんなやり方にイラク市民はだまされない。ジャーナリストは「選挙は失敗する」と断言し、議員に対し「国民の資金を浪費するな」と批判する。

 ある市民は「こんな選挙は1回行ったら、2回目は行きたくなくなる」と語る。政治家は自分の利益だけで、市民のことなど何も考えていないからだ。しかも、選挙に登場するのは毎回同じ顔ぶれなのである。

 もう一人のジャーナリストも「政党は自分自身のことと金儲けに忙しい。貧しい人のことを考えず、工業も農業も衰退させ、医療、教育も崩壊させた。なぜイラクを15年間も破壊しているか」と怒る。

ボイコット呼びかける

 選挙は不正まみれで、実際の投票率はきわめて低く、20%程度である。宗派主義や民族主義勢力が支配する議会と政府は、失業と生活破壊、治安の崩壊を招いただけだからだ。イラク労働者共産党はボイコットを呼びかけている。

 日本政府は占領に参加し、石油権益を確保するために6千億円以上の財政支援を腐敗政権に与え続けてきた。3月23日、伊藤忠商事はイラク最大の規模である南部の西クルナ油田の利権獲得を発表した。市民の生活と命を踏みつけ、グローバル資本は儲け続けている。

 サナテレビはこうした現状に対する市民の怒りを伝え、社会を変えようと呼びかけている。日本から連帯の声を上げていきたい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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