2018年04月06日 1521号

【東京朝鮮高校無償化裁判 控訴審/国の矛盾 裁判長が指摘/逆転勝利へ展望開く】

 東京朝鮮高校無償化裁判の控訴審第1回口頭弁論が3月20日、東京高裁であった。

 弁論は、裁判所が国側主張の矛盾を指摘し、朝鮮学校を無償化不指定とした処分の根拠を明確にするよう促す異例の展開となった。

 国は不指定の理由として、(1)朝鮮学校を無償化対象校とする省令1条1項2号ハの削除(2)指定の要件を定めた「規程」13条への不適合―の2つを挙げていた。阿部潤裁判長は国側に対し「不指定通知で(1)(2)の順だった理由がその後、(2)(1)と順序が逆になり、さらには『(1)にかかわらず13条に適合と認めるに至らず』『主たる理由は(2)』とてんでんばらばら」と疑問を呈し、「(1)と(2)の論理関係の根拠を示し、きっちり説明してほしい」と注文をつけた。

 一審判決は、不指定理由(1)の違法性(教育の機会均等と無関係の政治的外交的判断に基づく処分であること)について何の検討もせず、理由(2)を文科大臣の「裁量権」の範囲内として原告の請求を退けている。こうした誤った判断の見直しは避けられない。そのことを控訴審の冒頭で裁判長自らが示唆した形だ。

 報告集会で、李春熙(リチュニ)弁護士は「ハの削除が問題であるとの認識を裁判所が持っていることは間違いない。原告の主張と裁判所の問題意識ががっちり組み合った第1回期日だった」と評価した。

 2週間前に卒業式を終えた男子生徒が発言。「卒業生みんなで自分たちの権利は自分たちで必ず勝ちとろうと行動してきた。きょう始まった裁判は必ず勝利する」。高校2年在学中の女子生徒は「先の世代は国をとりまく情勢が悪くても何もせず待っていたことはない。権利はすべて同胞たちの闘いによって勝ちとってきたもの。いま自分にできること、それは闘い続けることだ」と決意を語る。

 「どんな困難があっても必ず勝利しよう。前へ進もう」。力強い歌声が響いた。

 次回は6月26日15時から。

大阪 朝鮮学校補助金打ち切り裁判 控訴審不当判決に抗議

 3月20日、大阪府・大阪市の朝鮮学校への補助金打ちきり裁判の控訴審判決が行われた。裁判長は傍聴につめかけた朝鮮高級学校の生徒たちを前にたった一言「本件を棄却する」とだけ告げる不当判決。朝鮮学校設立の歴史、補助金が出されてきた背景、教育を受ける権利を補助金制度が補ってきた経過など、一切無視した松井大阪府政・吉村大阪市政への追従判決だ。

 夜の報告集会では、不当判決を乗り越える決意に満ちた発言が続いた。弁護団の判決批判と上告の決意を受け、大阪の10の朝鮮学校オモニ(お母さん)会から代表それぞれが今後の闘いへのアピール。どのオモニの発言からも、決して屈しない、諦めないとの強い意思が伝わってくる。

 国連人権理事会からの「朝鮮学校無償化適用除外」への是正勧告、南北首脳会談実現の動きなど、朝鮮学校をめぐる情勢の有利な進展も受け、「この闘いは必ず勝利する」という決意と確信を共有できる集会となった。

(中大阪朝鮮初級学校とともに歩む会・富田穀)



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