2018年04月13日 1522号

【ジュゴン訴訟とむすび 「撤回」後押しするキャンペーンを SDCC第18回総会を開催】

 3月25日、SDCC(ジュゴン保護キャンペーンセンター)第18回総会を大阪で開催しました。

 米国連邦裁判所で争われているジュゴン訴訟差し戻し審結審が5月です。沖縄防衛局が辺野古の海草藻場(うみくさもば)を閉鎖する護岸工事を強行している緊迫した情勢での総会です。

 海勢頭(うみせど)豊SDCC共同代表は「政府は琉球のジュゴン信仰を破壊しようとしている。戦争と天皇制にまっすぐにつながるものだ。止めるためにSDCCの役割は大きい」とあいさつしました。

 吉川秀樹SDCC国際担当がジュゴン訴訟の最新報告。ジュゴン訴訟は、アメリカの国家歴史保存法(NHPA)にもとづき、米国防総省に対しジュゴン保護の科学的な手続きと関係者との合意形成を求めるものです。国防総省は、日本の環境アセスメントをもって「手続き完了」を主張し、いったんは国防総省側が勝訴しました。しかし、控訴審では連邦地裁への差し戻し判決が出ました。現在、裁判所と弁護団との間で協議が行われています。

 そして翁長雄志(おながたけし)知事は、名護市に続きこのジュゴン訴訟の協議に利害関係人として参加することを申し入れました。協議の焦点は、海草藻場の保全と沖縄におけるジュゴンの歴史的文化的価値です。

 また、差し戻し審理の中で、辺野古埋め立て承認「撤回」を後押しする新たな情報が明らかになっていると報告されました。

環境配慮履行せぬ防衛局

 沖縄県環境影響評価審査会は、沖縄防衛局の工事「事後報告」に対し、「工事は沖縄ジュゴンの行動に対してみるべき影響を与えていないと結論している。しかし、そこには不適当な調査手法、得られたデータの解釈の妥当性に関する疑問、(中略)が払拭(ふっしょく)できず、事後調査書の結論は早計であると判断する」(粕谷俊雄・元帝京科学大学教授、2018年1月29日2017年度第7回影響評価審査会)など、「環境配慮が不十分」と指摘をしています。

 沖縄防衛局が確認したジュゴン個体Cは、現在行方不明のままで、原因は不明です。名護市東部嘉陽(かよう)を主な餌場にしていると防衛局が主張する個体Aについては、環境等監視委員会でも「嘉陽の藻場だけで足りるのか?」と疑問が出されているにもかかわらず、辺野古の藻場を破壊する影響に関して検討がなされていません。海草の「移植実験」もされていません。防衛局はアセス評価書(環境影響評価書)に示された環境配慮もまともに行わず、埋め立て承認の環境配慮事項も履行していないのです。

 こうした事実の積み重ねの中で、今こそ埋め立て承認の「撤回」が可能だし、沖縄県が「撤回」のスタンスを明確にすることがジュゴン訴訟にも良い影響を与えることを議論し、確認しました。

 翁長知事の「撤回」を後押しするキャンペーンをいっそう強めていきます。

(ジュゴン保護キャンペーンセンター・松島洋介)



 
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