2018年04月13日 1522号

【被害の完全賠償をめざして院内集会/原発賠償訴訟3連続判決】

 原発被害者集団訴訟の判決が3月に3つの地裁から相次いで出されたことを受け、3月27日衆院第一議員会館で院内報告集会が開かれた。原告・弁護士・支援者や立憲民主党・共産党の国会議員ら約250人が集まった。

 3判決の評価を行ったのは福島原発被害弁護団の米倉勉幹事長。「国の法的責任が再確認され、原子力損害賠償紛争審査会の賠償基準の対象範囲、金額が不十分とされたことは出発点。被害者に大変負担のかかる裁判を強要せず、国による全体的解決が志向されるべきだ。続く各地の裁判、控訴審では低額な慰謝料の水準をあげさせよう」と訴え、「国の責任が認められる流れは変わらないと確信する」と述べた上で、「京都は損害賠償の期間を2年間としたが、避難生活の実態と合わない。東京はもっと短い2011年12月31日までで、冷温停止状態になったからという理由もおかしい。落胆した」と批判。「東京訴訟原告の一人が『今までの苦労がこの金額か』と怒っていたのが印象強い。慰謝料が低すぎる」と指摘した。

 判決のあった京都・東京・いわき各訴訟の原告、弁護団が発言に立つ。22日の福島地裁いわき支部判決について広田次男いわき訴訟弁護団共同代表は「350ページの判決文で読むべき中身はほとんどない。原告側の慰謝料請求の主張をそのまま組み入れながら、『以上総合的に考察して』と、何の説明もなく旧緊急時避難準備区域70万円、避難区域150万円とした。決して許せない」。

 先行して控訴審を闘う群馬・千葉・生業(なりわい)各訴訟からもあいさつ。生業訴訟原告団長の中島孝さんは「アスベスト訴訟や四大公害訴訟から学ばされる。つまるところ、二度と事故を起こさせない、脱原発を決意させる裁判だ」。千葉訴訟の滝沢信弁護団事務局長は「長期評価で津波対策は出来たはず、と一番やりあってきたのに国の責任が否定された。他の裁判所は認めており、千葉は許せない。損害賠償額が低すぎる。裁判官の意識を行動で変えたい」と決意を表明した。

 集会は最後に、国と東京電力が直ちに被害者との話し合いのテーブルに着くよう求める「宣言」を確認。終了後は経済産業省と東電に要請を行った。経産省は要請書の受け取りさえ拒否した。

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS