2018年04月20日 1523号

【ウソを重ねて支持率急落/平和と民主主義壊す腐敗政権/市民だますアベ政治と決別を】

 安倍政権の支持率が急落。不支持率が支持率を上回った。過去、支持率が低下した時は朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の核ミサイル脅威をあおり、ウソを重ねて乗り切ってきた安倍。今回、日米首脳会談で支持率挽回を期待する。だが、内政だけでなく外交も失態続きで、挽回できる要素は何もない。市民をだまし、腐敗をまき散らす安倍政治に一刻も早く終止符を打とう。内閣総辞職へ追撃の時だ。

支持率挽回の要素なし

 3月の各社世論調査で内閣支持率は軒並み低下し、不支持率が上回った。森友文書改ざん事件発覚による。不支持理由の一番は「安倍首相を信用できない」。佐川宣寿前理財局長の証言(3/27)は市民の怒りをさらに高めた。3月31日、4月1日の共同通信世論調査で、「証言は納得できない」が72・6%にもなった。ところが、同調査で内閣支持率は2週間前の調査に比べ3・7ポイント増え、不支持率はほぼ横バイ(不支持率の方が高い)。佐川喚問で深まる疑惑。支持率はさらに落ちてもおかしくなかった。



 このわずかながらの「上昇」を、中朝会談(3月26、27日)でますます日本が取り残される状況に「外交の安倍への期待感」を見る向きもあるが、現実はそうならない。

 安倍内閣不支持率が支持率を上回った2015年9月の戦争法と17年6月の共謀罪の強行時、数か月で逆転してしまった。15年11月、半年ぶりに朝鮮がロケット発射実験実施。17年8月には日本列島を越える長距離ロケットを発射した。その都度危機をあおった安倍政権は思惑通り、支持率「回復」に成功した。朝鮮の軍事挑発は安倍政権にとって助け船になった。

 だが今、朝鮮半島の和平は進み、圧力一辺倒の安倍は全く世界から相手にされていない。「安倍への期待」など夢想に過ぎない。外交で挽回することなどあり得ない。

相手にされない安倍政権

 安倍は4月17〜20日訪米、トランプ大統領との会談を行う。鉄鋼・アルミ製品関税引き上げ対象国からの除外を求めること、米朝会談で「拉致問題」を持ち出してもらうことを「強く要請する」という。この「成果」を御用メディアに宣伝させ、支持率回復につなげようとの思惑は、まったく空振りに終わるだろう。

 会談場所はトランプの別荘、例によってゴルフ会談だという。「トップ会談」と言えば聞こえはいいが、トランプ来日時、バンカーに転倒しても見向きもされなかった安倍がゴルフコースで対等に話せることはない。まして、外相や官僚レベルの事前協議なし。実務の詰めは何もない。通訳だけしかいない会話を都合よく広報しても、そんなデマはもう通用しない。

 同盟国は新たな関税措置から外すとしていたトランプ。韓国などは除外したが日本は除外しなかった。「これほど長く、米国をうまく利用できるなんて信じられないとほくそ笑んでいるだろう。だが、こうした日々はもう終わりだ」。過去の日米経済摩擦まで引き合いに出し、「安倍はいい奴だ」とあざ笑った。

 関税引き上げの目的は、貿易赤字解消ではなく、トランプの人気取りのため。鉄鋼輸入額の過半を占める国々を対象とせず、わずか5%程度の日本に適用するのはトランプの大嫌いなオバマ前大統領を3月24、25日と手厚く歓迎した安倍への意趣返しでもある。この程度の人物たちが「リーダー」の地位にある。

 朝鮮の和平プロセスについては、4月6日、中ロ外相会談が行われるなど関係国間で促進に向けた環境作りが進んでいる。これまで朝鮮問題は米朝韓中ロ日の6か国協議の場で解決を図ってきた。ところが今回日本政府はまったく蚊帳(かや)の外。むしろ邪魔者扱いされている。

 3月31日、河野太郎外相が「北朝鮮が核実験の準備をしている」と講演で口にした。事実誤認と反論を受けた河野は4月3日、「核関連施設で活動が続いている」と改めて強調。中国は即座に「朝鮮半島情勢が対話によって解決されるという方向に向かって関係各国が努力している。こんな時期に、足を引っ張る言動をする人が現れないように望みたい」と痛烈に批判した。

 平和的解決の妨害者である安倍が今、口にする「拉致問題」解決を本気で聞き入れる国はない。「拉致解決」と言いながらこれまで何の努力もしていない不誠実な態度を誰もが知っている。安倍政権に外交力などない。

ウソつき政権追放を

 安倍政権が海外で批判されているのは朝鮮をめぐる問題だけではない。海外メディアに「超ナショナリスト学校に現金を渡した」と書かれてきた森友疑獄。文書改ざんが暴露され、「安倍氏の選挙の行方を脅かしている」(3/13ニューヨークタイムズ)。自民党総裁3選どころか、「安倍政権の終わりの始まり」(3/22中国・新華網)とまで報じられている。仏ルモンド紙の東京特派員は「これと同じことがフランスで起きれば、間違いなく政府は吹っ飛んでしまう」と日本メディアのインタビューに答えた。世界では、安倍政権はすでに退場勧告を突きつけられている。

 閣僚間の亀裂さえ表面化している。森友文書改ざんの経緯をめぐって、3月6日に報告を受けたとする菅義偉(よしひで)官房長官が、11日に知ったという麻生太郎財務相とすり合わせを行うために大臣室を訪ねたところ、「悪いのは(安倍)昭恵だろう」と麻生が「切れた」という(週刊ポスト4月13日号)。ウソにウソを重ねたあげくに仲間割れの醜態をさらす末期症状だ。

 防衛省ではイラク派遣部隊の日報隠ぺいがついに暴かれた。司法にも憲法違反と断罪されたイラク派兵。何としても知られたくなかった実態がボロボロともれ始めた。厚生労働省はデータ隠ぺい・改ざんに加えて、裁量労働制を取り締まった例として野村不動産をあげ、手柄のように広報した。実際は過労自殺にまで至っている実態をつかんでいたことを今も認めない。

 この政権は腐っている。都合の悪いことは「なかった」ことにし、都合よくデータをでっち上げる。どこを探しても「安倍政権支持」が増える要素はない。

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