2018年04月27日 1524号

【加計問題は「首相案件」/発言認めぬ柳瀬元首相秘書官/原発推進計画の立案者だった】

 「本件は、首相案件」。学校法人・加計学園の獣医学部新設計画をめぐり、安倍晋三首相側近の首相秘書官がそのように述べたことを記録した文書が存在することがわかった。

 文書は、2015年4月に愛媛県や今治市の職員、学園幹部が柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と首相官邸で面会した際に、県職員が記録用に作成したもの。政府関係者や関係省庁に配布されており、農林水産省でも発見された。出席者の一人は面会の事実を「間違いない」と証言。柳瀬から「首相案件」発言があったことも認めた(4/12読売)。

 これほどの証拠を突き付けられてなお、当の本人は「自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません」としらばくれている。安倍首相が全幅の信頼を寄せる柳瀬唯夫とはどのような官僚なのか。

 柳瀬は2012年末の安倍政権発足から2015年8月まで首相秘書官を務め、国家戦略特区などを担当。現在は出身の経済産業省に戻り、ナンバー2のポストにあたる経済産業審議官を務めている。

 経産官僚としての柳瀬は、同省の出世コースである原発政策の重要ポストを歴任してきた。2006年(小泉内閣)には、資源エネルギー庁原子力政策課長として「原子力立国計画」をまとめた。つまり、核燃料サイクルの推進と原発の海外輸出を「国策」にした当事者の一人なのだ。

 福島原発事故後も原発推進を維持する文書、いわゆる「柳瀬ペーパー」と呼ばれる非公式書類を省内や永田町に配ったとされる。まさに政府や業界の意向に忠実な「ザ・官僚」と言うべき人物といえよう。

 ちなみに、安倍政権を裏で支える今井尚哉・首席首相秘書官も経産省出身で、柳瀬の2期上の先輩にあたる。彼は「成長戦略の目玉商品」として原発輸出を推進してきた。今井に引きずられる形で「原発地獄」にはまり込んだ東芝は今、経営破綻の危機にある。この今井といい、柳瀬といい、原発政策を推進し大惨事をもたらした張本人が何の責任もとらず、今も安倍首相に重用され続けている。

 経産省OBに言わせれば、柳瀬は上司の顔色ばかりをうかがう「究極のヒラメ官僚」なのだそうだ。良心を捨て絶対忠誠を誓う者でなければ、安倍政権の官僚は務まらないということだ。

 アベ暴走政治の翼賛機構に成り下がった官僚組織。こんな状態が続けばこの国は本当に崩壊する。(O)

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