2018年05月04日・11日 1525号

【財務省セクハラ次官/声上げにくい社会変えるために/責任者の安倍は辞めろ】

 安倍政権の腐敗は、セクハラ問題潰しにまで広がった。福田淳一財務事務次官が、女性記者に対しセクハラを行ったことで辞職に追いやられた。しかし、福田次官は、いまだにセクハラの事実を否定、裁判で争うとまで言っている。

 反省も謝罪もなく開き直り続けており、絶対に許すことはできない。「エリート官僚」のトップがここまで人権感覚がマヒしているとは、はらわたが煮えくりかえる思いだ。

 この事件は、支配的な立場を利用した典型的なセクハラである。次官は取材の度に、飲食店等でセクハラを繰り返していた。被害者の「身の危険を感じて録音した」という発言から、どれだけ恐怖を感じていたかがうかがえる。

 にもかかわらず、被害者の訴えに対し、会社(テレビ朝日)も、財務省も誠意を持って対応していない。取材中の会話を録音し、週刊誌にデータを持ち込んだことが批判を受けているが、告発した被害者の切羽詰まった状況を全く考えないおかどちがいだ。

 セクハラ問題に取り組む早田弁護士は「取材中でセクハラを受け、自分の身を守るためにその会話を録音したというのは必要なこと」「テレビ朝日は(データを他社に)持ちこんだことは不適切と言ったが、上司が握りつぶした結果、持っていかざるを得なかった」と述べる。背景には、官僚に抗議できない大手マスコミの組織ぐるみのセクハラ隠しがあったとされる。

 一方財務省は、セクハラの事実を調査するために、被害者は財務省側の弁護士に「名乗り出よ」との対応に出た。このやり方は、被害者を追いつめ脅すことであり、一斉に多くの女性たちの批判が集中した。弁護士たちの呼びかけた「セクハラ調査方法」撤回求めるネット署名は、2日間で3万5千も集まった。「名乗り出る」ことがどれだけ大変なことか。「名乗り出る」ことで仕事も奪われてしまう女性たちがどれだけ多いか。加害者はそれを承知でセクハラを行い、名乗り出なかったら、セクハラはなかったことにしようとしているが、事実を消し去ることはできない。

 セクハラは、悪質な人権侵害であり、厚労省「セクハラ防止ガイドライン」ですら、事業所では加害者本人だけでなく監督責任として上司の処分も定めてある。辞めるべきはひとり次官にとどまらない。麻生財務相、安倍首相の責任こそ問われなければならない。みんなまとめて総辞職だ。

 今、セクハラや性暴力の被害を告発する「#Me Too(私も)」のたたかいが世界的なムーブメントになっている。韓国では、検事のセクハラ告発から、知事やノーベル賞候補の詩人までが訴えられ、市民が立ち上がってセクハラの加害者を糾弾する運動が展開されている。日本でも、被害者が声を上げにくい状況があるこの社会を市民の力変えていかなければならない。 

(平和と平等を拓く女たちの絆<OPEN>・山本よし子)
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