2018年05月18日 1526号

【みるよむ(483)2018年4月28日配信 イラク平和テレビ局in Japan 賃金未払いを続けるイラクの汚職政府】

 2018年3月、イラク議会が政府機関などで働く労働者に対する未払い賃金の支払いを決定したにもかかわらず、労働者は賃金を受け取っていないことが明らかになった。サナテレビは、この問題について市民にインタビューを行った。

 国営企業をはじめとした労働者は、数か月から1年にも及ぶ賃金の遅配や未払いに苦しんでいる。

議会決定でも未払い続く

 あまりにもひどい状況に各地で抗議デモが多発している。ようやく議会もこの問題を取り上げ、未払いの賃金を支給することを決定した。遅きに失したものの、賃金が支払われることになった。

 ところが、議会が決定したにもかかわらず、実際には給与は払われていない。数百万人の労働者にとってあまりにもひどい話だ。一体、どうなっているのか。

 事態の原因について、ジャーナリストがズバリ指摘する。「裏で汚職役人の手が回っているからだ。腐敗に対する監視はまったくされていないし、汚職はイラクの隅々にまで及んでいる状態だ」と言うのである。「役人は、みな自分に有利になるように、いつも不正を働く抜け道を探している。法律は実際の効力を持たない。紙の上に載っているインクにすぎない。汚職役人が罪に問われるということがない」。無法状態はあきれるばかりだ。

 ある卸売業者は、イラクが外国に多額の借金をしておりその返済をしなければならない状況を指摘する。IMF(国際通貨基金)や日本などが腐敗政権に金を貸し付け、返済させる構造の中で、恒常的な予算不足が起きているのだ。

汚職政府に安倍が350億円

 労働者の賃金未払い問題は、汚職政府、そしてそれと結託するグローバル資本の支配構造から生まれてきたものだ。

 2018年4月、イラクのアバディ首相が来日し、安倍首相は新たに約350億円の円借款を提供した。しかし、これは腐敗政権を支え、借金返済の負担を市民に押しつけるだけだ。

 不正と公文書隠ぺい・改ざん続出の安倍政権が、汚職まみれのイラク政府を支えている。汚職に反対するイラク市民と連帯し、安倍政権の円借款を中止させなければならない。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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