2018年05月25日 1527号

【でたらめな高プロ制度 超ブラック§J働を推進 「働かせ方改悪」法案強行許すな】

 今国会の首相案件≠ナある「働き方改革」=「働かせ方改悪」関連法案。5月2日強行された衆院厚生労働委員会は、野党欠席の中、与党のみで審議に入った。この日も「空回し」と称して審議時間に数え、政府・自民党は23日にも委員会強行採決を狙う。

労基法の根幹を外す

 5月9日には野党も出席して委員会が開かれた。

 野党側は「『高度プロフェッショナル制度』は長時間労働を助長するもので法案から削除すべき」と要求。これに対し加藤勝信厚労相は「一部の専門職は、労働時間を自分なりに管理して成果を出し、評価されることを望んでおり、それに対応する制度だ。自分のスタイルに応じて働けるようにして、仕事の効率を上げてもらう」と開き直った。

 法案には、加藤の言う「自分のスタイルに応じて働ける」など一切書かれていない。そもそも「高度プロフェッショナル制度」(以下「高プロ」)という言葉すら出てこない。

 「高プロ」では、対象労働者について「一定の要件」をクリアすると、「労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定」つまり労働基準法の根幹部分が適用されなくなる。使用者には、労働者に104日の休日付与と「一定の健康確保措置」を講じる義務が課される。法律の条文はこれに尽きる。

 この「一定の要件」の中に、年収が1075万円以上、高度でプロフェッショナルな業務などが入るという。年収については、1075万円との数字は明記されず、労働者の平均年収の「3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上」とされる。対象業務については厚生労働省令で定める業務となっており何の定めもない。

 「高プロ」は、裁量労働制のように、業務遂行に労働者に裁量があるとも書かれていない。管理監督者のように、経営側に近い立場で出退勤が自由、また、高待遇との縛りもない。一定の職種で年収が一定額を超える見込みのある普通の労働者に対して適用される制度なのだ。

働かせ方は無制限

 「高プロ制度は地獄の入り口」と、ブラック企業被害対策弁護団の佐々木亮代表はさまざまな例をあげ暴いている。

 「高プロ」導入において使用者には、労働者の働かせ方に何の規制もない。「高プロ」対象労働者に対し、何時までに出勤し何時まで働くという所定労働時間の設定も許される。法案は、使用者が対象労働者に所定労働時間を設定してはならないとはしていないからだ。所定労働時間は通常の労働者の場合は8時間だが、「高プロ」では労働基準法の労働時間規制が適用されない。たとえ、過労死必至の「始業時刻9時」「終業時刻午前2時」「休憩なし」であっても合法となる。また、この就業時間内に働かない時間(遅刻・早退・欠勤)があった場合に賃金を減らすことも違法ではないとなる。

 「高プロ」では、1年365日から使用者が義務付けられている休日104日を引いた261日に24時間を掛けた6264時間が最大の年間労働時間となる。この場合年収1075万円とし、年間労働時間6264時間とすると時給1716円となる。

 人間は24時間労働を何日も続けられず働けなくなる。その場合、1時間働けなくなるごとに1716円ずつ賃金カット。24時間休めば4万円以上カットとなる。それが積み重なって「高プロ」の年収要件を割れば、「高プロ」が適用されなくなるのか。そうではない。「高プロ」の適用条件は一定の年収「見込み」なので、欠勤などで下がることで適用から除外とはならない。

誰にでも適用し放題

 この条件で「高プロ」を適用された労働者が、1日24時間ではなく12時間働いたとすると年収は半額の540万円程度。もし労基法の1日8時間週40時間の制限どおりなら360万円弱。こうした形の適用も条文からは可能であり、経団連が狙う「年収400万円以上を対象」への抜け道はすでに用意されている。

 まさに誰にでも、どのようにでも適用し放題。ブラック′o営者が舌なめずりする超ブラック*@案なのだ。

 政府が「そんなことは想定していない」と言おうが、法律上は何でもありなのがこのでたらめ法案だ。一括法案の強行を許さず、安倍政権もろとも葬り去ろう。

 
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