2018年06月01日 1528号

【1528号主張 進展する東アジア緊張緩和 民衆連帯こそ平和の力】

劇的な緊張緩和の流れ

 米朝首脳会談が6月12日シンガポールで開催される予定だ。揺るぎない平和の実現で、アジアの戦後史を大きく変える道筋が見え始めた。

 5月9日、ポンペオ米国務長官は朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を再訪問して「ともに紛争を解決できる」と述べ、朝鮮に拘束を解かれた米国人3人とともに帰国。トランプ米大統領は17日、朝鮮に対して無条件即時核放棄となる「リビア方式」適用の否定と体制保証を明言した。

 22日には米韓首脳会談が持たれ、「朝鮮半島の非核化」の期限や手順、朝鮮戦争の終結から平和協定への方策など、米朝会談に向けて協議が行われる。平和協定の締結に至れば、在韓米軍縮小に向けた駐留見直しは不可避となる。圧力一辺倒では決してできなかった劇的な緊張緩和の進展を対話がつくりだしている。

逆行する日本政府

 一方、日本政府は朝鮮半島の核問題をめぐる6か国協議の当事国でありながら、今もひとり「蚊帳の外」だ。

 5月15日発表の外交青書は「日本を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しい」「これまでにない重大かつ差し迫った脅威である北朝鮮」と危機をあおり、なお「あらゆる手段を通じて圧力を最大限まで高めていく」と強調する。だが、安倍政権の圧力・対話拒否外交≠フ失敗は、一層あらわになっている。安倍は、テレビ番組で金正恩(キムジョンウン)朝鮮国務委員長の「(拉致問題で)なぜ日本は直接言ってこないのか」との発言について問われ、答えに窮してしどろもどろになった(5/10FNN)。日朝の直接対話なしに打開がありえない拉致問題も、政治利用するだけで交渉すらしてこなかったのだ。

 戦争・改憲路線の推進には「朝鮮の脅威」「対話など論外」の宣伝がどうしても必要だ。この期に及んで、緊張をあおるだけのJアラート(朝鮮の弾道ミサイル等の全国瞬時警報システム)情報伝達訓練(5/16)を全国一斉に行なったのもそのためだ。平和構築を妨げる安倍は直ちに退陣させなければばならない。

日韓連帯で平和の敵倒す

 東アジアで戦争を拒否し、平和を構築する原動力は民衆の闘いだ。文在寅(ムンジェイン)韓国大統領に南北緊張緩和への対話路線をとらせたのは、韓国の平和運動でありキャンドル革命の力だ。核と武力に執着してきたトランプや金正恩を対話に向かわせ、安倍を孤立させている情勢の根底に平和を求める世界の民衆の運動がある。

 この民衆の闘いを結ぼう。グローバル資本の軍拡・戦争推進路線に反対し、対話による緊張緩和と東アジアの非核化を自国政府にせまる闘いが平和の道を切りひらく。

 5月20日から27日まで全国5か所で、韓国のTHAAD(サード)(高高度防衛ミサイル)強行配備に反対する市民を招いたZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)日韓連帯スピーキングツアーが開催されている。韓国のTHAAD配備撤回と日本の憲法9条改悪阻止、辺野古新基地建設阻止は、日米韓軍事一体化を許さず東アジアの緊張緩和を前進させる大きな意義を持つ。

 日韓市民の力で和平への最大の妨害者、安倍内閣を打倒しよう。市民の国際連帯の闘いこそが和平を実現し確かなものにする。

  (5月20日)
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