2018年06月15日 1530号

【1530号主張 史上初の米朝首脳会談へ 和平の実現を民衆の力で】

米朝首脳会談の実現歓迎

 史上初めての米朝首脳会談が6月12日、シンガポールで開催される。朝鮮半島の非核化、朝鮮戦争の終結に向けた歴史的な転換点となる。会談の実現を大いに歓迎する。

 トランプ米大統領から一方的会談中止の表明があった直後、電撃的に2度目の南北首脳会談が開催された。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領を突き動かし局面を切り開いているのは、ろうそく革命に示された韓国民衆の力だ。米朝首脳会談についてトランプは今回限りでなく複数回開かれる見通しを示した。また、制裁に関して「これから『最大限の圧力』という言葉は使いたくない」と述べ、米朝交渉が継続する限り「新たな制裁を科さない」ことを表明した。

 会談では、朝鮮戦争の終結についても話し合われ、終戦宣言の可能性もある。朝鮮戦争休戦から65年。毎年、米韓軍事演習が行われ、戦争状態が継続してきた。南北、米朝首脳会談を包み込む民衆の力で、東アジアの非核化、恒久的な平和への道を確かなものにしなければならない。

世界で孤立する安倍

 この国際的な平和の流れから全く孤立しているのが安倍政権だ。米朝会談中止について各国首脳が遺憾の意を表わす中、安倍首相は世界でただ1人、会談中止支持を表明。小野寺防衛相は6月2日、アジア安全保障会議で「対話に応じることのみをもって、見返りを与えるべきではない」「圧力の維持が不可欠だ」とくりかえした。だが、3日の日米韓防衛相共同声明には前回まで明記されていた「圧力」の文言は盛り込まれなかった。圧力一辺倒の安倍外交は破綻している。

 それでも圧力に執着し朝鮮半島の和平を妨害する背景には、軍拡と憲法9条改悪の強い衝動がある。自民党の安全保障調査会は5月24日、軍事費をGDPの2%水準まで引き上げることを提言した。提言は年末に改定する「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」に向けたもので、これまで「GDPの1%枠」で推移してきたのを一気に2倍にし、軍事費10兆円の大軍拡を行おうと言うのだ。

 安倍は第2次政権発足以来の支持率低下に直面しているものの、総裁3選から改憲発議を諦めてはいない。過去、朝鮮のミサイル、核実験を政権浮揚の材料にしてきたように、朝鮮半島の平和の実現よりも戦争の危機を煽る方が都合が良い。東アジアの平和に最大の脅威をもたらす安倍は退陣させる以外にない。

日韓連帯で平和構築を

 朝鮮戦争の終結、東アジアの緊張緩和は、在韓・在日米軍の撤退、韓国のサード(高高度防衛ミサイル)撤去、辺野古新基地阻止の展望ともなる。戦争につながる種≠ヘいらない。日韓市民の連帯で平和への道を切り開く時だ。

 安倍9条改憲NO!3000万署名1350万筆は6月7日、国会に第一次提出される。11日のZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)中央要請行動など安倍政権への怒りの声を束ね、3000万筆の達成、地域の安倍退陣行動の強化とともに、6・10国会前大行動に全国から参加し国会を包囲しよう。米朝首脳会談実現を飛躍台に、東アジアの平和構築、内閣総辞職へのうねりをさらに大きくつくりだそう。

  (6月4日)
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