2018年06月15日 1530号

【議会を変える 京都府向日(むこう)市議 杉谷伸夫 市民のための公文書管理条例を】

 森友、加計学園問題では、交渉記録が廃棄されたり、無いと言っていた文書が後から出てきたり、国会に提出された文書が大規模に改ざんされていたり、公文書をめぐる現実に国民はあきれ果てました。また廃棄していたはずなのに出てきた文書が、真相解明の大きな突破口になりました。この機会に、公文書の重要さを改めて認識し、国だけでなく私たちの自治体でも、公文書管理の現実をチェックすることが必要と考え、6月市議会でこの問題を取り上げます。

 向日(むこう)市でも、かつて2億円の損害賠償をめぐる判断の根拠となった「弁護士から市長への報告書」が情報公開請求された際、非開示決定がされましたが、理由が「検討途中のものだから公文書ではないと考えすべて廃棄した」からと説明され大きな問題になりました。その報告書は、市の方針が180度転換した根拠がわかるはずの文書だったからです。しかし結局、「捨てた判断はまちがっていた」との謝罪で幕引きを許してしまいました。

 市民が、国や自治体の政策決定がおかしいと思ったとき、それを検証するためには決定過程に関わる行政文書を調べることが重要です。自治体でも公文書の管理に関する規則等を設けています。しかし市民が公開請求したとき、今回のように「保存期間1年以内なので速やかに捨てた」「保存すべき公文書とは考えなかった」ので「文書は有りません」を連発されたら、市民が行政をチェックすることは不可能になります。

 そこで国は、公文書管理法を2009年に制定し、公文書等が「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るもの」とし、国の諸活動を「現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにする」との目的を明記しました。そして、地方自治体にも、法の趣旨に則った公文書管理を行うことを義務づけました。しかし多くの市町村では、文書取り扱いの市役所内のルールを定めるだけに留まっており、「主権者市民の権利を保障し、行政の説明責任を全うする」という目的は念頭に無いかのようです。

 私は、市民の権利と行政の責務を明記した「公文書管理条例」を制定することを求めます。また、国は法を制定しましたが、それでも今回の問題が起きています。ですから、恣意的な文書廃棄を一切認めないために、すべての文書に10年程度の保存義務を課すことが必要でしょう。

 この機会に、みなさんの自治体でも調べてみてはいかがでしょうか。
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