2018年07月13日 1534号

【非国民がやってきた!(285) 土人の時代(36)】

 本年6月、琉球民族遺骨返還研究会代表の松島泰勝(龍谷大学教授)は、琉球民族の遺骨の返還を求めて京都大学を相手に提訴することを決断し、「琉球遺骨返還請求訴訟へのカンパのお願い!」を発表しました。以下に紹介します。

 「金関丈夫・京都帝国大学助教授は1928〜29年に行った発掘調査において、百按司墓(ももじゃなばか)から持ち出した琉球人遺骨を京都帝大に26体、台北帝大に33体寄贈した。金関氏による遺骨持ち出しは警察、行政関係者の許可を得ただけであり、門中関係者、地域住民等が了解したのではなかった。琉球併合後、警察を含む行政、教育関係の上層部の大半を日本人が占めるという植民地体制下において盗掘が行われた。

 2017年5月、私は京都大学総合博物館に対して「百按司墓遺骨」の実見と幾つか質問をしたが、同博物館はその要求を全て拒否した。京都大学は『琉球新報』、『沖縄タイムス』、『東京新聞』、『京都新聞』等からの本件に関する取材も拒絶している。

 琉球民族遺骨返還研究会は京大総長に対して琉球人遺骨返還に関する要望・質問書を提出し、遺骨関連の情報開示請求を行った。照屋寛徳・衆議院議員は国政調査権を発動し、文科省を通じて京大に対して百按司墓琉球人遺骨に関する照会を行い、また政府に対して「琉球人遺骨の返還等に関する質問主意書」を提出した。さらに照屋議員は京大総長に公開質問状を2回提出して、同遺骨の返還を求めた。琉球民族独立総合研究学会は国連の人権高等弁務官事務所に「百按司墓琉球人遺骨」返還の正当性を主張するとともに、国連の先住民族に関する常設フォーラムにおいて本問題について訴えた。さらに AIPR(琉球弧の先住民族会)はAIPP(アジア先住民族連合)の評議会に琉球人遺骨問題に関する私の報告書を提出した。

 琉球人は生きている間、米軍基地問題のように植民地支配の犠牲者である。同時に、死してニライカナイに行ってからも日本による植民地支配を受けている。遺骨返還、先祖供養を京大つまり日本政府が拒否できる体制下に琉球人は生きることを強いられている。琉球人を生死にかかわらず支配し、利用しようとする日本の帝国主義、植民地主義から脱却しない限り、琉球人は徹底的に、永遠に生死を超えて搾取されるだろう。琉球人の自己決定権、遺骨返還と再埋葬という国際法で保障された先住民族の権利、憲法で保障された信教の自由や知る権利、アイデンティティーの確立、そして琉球独立にとって百按司墓琉球人遺骨は政治的象徴性を有するようになった。遺骨問題は琉球人の過去を現在に浮上させ、脱植民地化という琉球人の未来とも直結している。

 京大は現在に至るまで私からの質問、返還要求に対する回答を一切拒否している。京大が、日本の植民地になった琉球の人々から同遺骨に関する問い合わせや返還要求を無視することは、日本の帝国主義、植民地主義が現在も続いていることを意味している。私は京大総長を被告とする「琉球遺骨返還請求訴訟」を行うことを決意した。裁判では遺骨の返還を求めるとともに、日本の琉球に対する植民地支配について明らかにしたい。

 私は、第一尚氏門中関係者、利害関係者等によって構成される原告団を組織し、丹羽雅雄氏・普門大輔氏・定岡由紀子氏等の弁護団や照屋寛徳議員、「命どぅ宝 琉球の自己決定権の会」等の協力を得ながら裁判の準備を進めている。多くの市民によって支えられた形で裁判を行いたい。次の口座にカンパを振り込んで下さるよう心底よりお願い申し上げたい。

 皆様のご理解とご協力、ゆたさるぐとぅうにげーさびら(宜しくお願いします)!!

 琉球銀行小禄支店普通口座 0059730 マツシマヤスカツ

 ゆうちょ銀行那覇支店 01750-6-170058 松島泰勝
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