2018年07月27日 1536号

【大阪・茨木 改憲より福祉を! 地震被害でも声届かない行政 憲法いかそう市民のつどい】

 去る6月30日、憲法いかそう茨木市民の会は、東京都足立区議・土屋のりこさんを招いて市民のつどいを持ちました。折しも茨木は、6月18日に震度6の地震に襲われたばかり。家屋の損傷などの被害をこうむり多くの市民が不安を抱える中、当初予定の会場も使えず急きょ変更してのつどいでした。

ソウル市「出かける福祉」

 まず、土屋さんから「堂々と享受できる福祉を!韓国ソウル市に学ぶ市民中心の市政」というテーマで報告してもらいました。初めにキャンドル集会の映像を見て、改めてその凄さに感動し鳥肌が立つ思いでした。ソウル市のパク・ウォンスン市長による市民中心の市政も、キャンドル革命を成功させた市民の力が背景にあることがわかりました。

 パク市長がめざす5大市政目標の一つが、「堂々と享受できる福祉」です。きっかけとなったのが、2014年におこった貧困に苦しむ母子家庭の親子の自死でした。パク市長は、「市長自身にも責任がある」と考え、福祉の死角地帯をなくすために「出かける福祉」を重視することになりました。この政策は「生活困窮者を公務員が直接見つけ出し、人のつながりの回復と連帯を取り戻す事業」と言われています。具体的には、高齢者、妊産婦、生活困窮世帯を訪ね、状況を確認し要望を聞き取る活動をしています。この取り組みによって、福祉(生活保護)の捕捉率(利用資格者のうち、実際に利用している人の割合)が6割まで改善しました。

 土屋さんは、足立区でもソウル市の市政を取り入れようと取り組んでいます。とりわけ子どもの貧困対策の一環で、奨学金の返済助成金として最大100万円を40人に支給する画期的な事業を実現させました。巨大都市ソウルでできるのなら日本の自治体でもできるとの確信が持てました。

 茨木でも、3000万署名の戸別訪問をする中で市民の願いが寄せられます。さらに聞き取りを広げ、市民のくらし・福祉を充実させる政策を市に突きつけていかなければなりません。

不満の声まとめ要請へ

 茨木市では、今回の地震で行政に対する不満や要望がたくさん出ています。市は地震直後にひとり暮らしの高齢者や要介護者の安否確認は行いましたが、「困っていることはないか」などのていねいな聞き取りはありませんでした。

 地震対応の情報が市のホームページや自治会の回覧版でしか伝えられず、「罹災(りさい)証明はどこにいったらいいのか」「アパートが壊れて、大家から出ていってほしいと言われた」などの声が出ています。市に電話をしてもなかなかつながらず、相談窓口を開いても市民が来るのを待っているだけ。ソウル市のように「出かけて行って」被害の状況や市民の要望を聞くことはありません。

 そもそも、対応にあたる職員が少ないところに一番大きな問題があります。破損した家の改修工事の費用の保障など地震の対応については、市民の要望をまとめ市への要請行動に取り組んでいきます。

自衛隊激励だけの安倍首相

 安倍首相は、地震後に茨木にも「視察」に来ましたが、市内の公園で風呂を提供していた自衛隊を激励しただけで帰ってしまいました。本気で市民の命やくらしを守ろうとは思っていません。西日本豪雨災害をよそに酒宴やカジノ優先など、命・くらしの軽視は一貫したものです。

 改めていつ自然災害がおきるかわからないことが明らかになった今、必要なのは軍事基地やミサイルではありません。改憲し軍事力を強めることより、ただちに防災や福祉の充実を図るべきです。そのためにも安倍は退陣しかありません。3000万署名を地域の隅々から集め、改憲の動きをストップさせましょう。

(憲法いかそう茨木市民の会・山本よし子)





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