2018年07月27日 1536号

【井戸川裁判(福島被ばく訴訟)/国側陳述「対策しても防げなかった」?!】

 井戸川裁判(福島被ばく訴訟)の第11回口頭弁論が7月11日、東京地裁で傍聴席を満杯にして開かれた。

 被告・国側代理人がスライドを使い20分間の意見陳述。「地震調査研究推進本部の『長期評価』は情報の受け取り側で取り扱いを検討することを前提に発表された」と“絶対ではない”ことを強調し、「南側からの津波襲来を予測していたが、実際はすべての方向から襲来した。長期評価に基づいて対策したとしても事故は防げなかった」と開き直った。

 このスライドは7月6日千葉訴訟控訴審(東京高裁)などでも使われている。

 国は大津波襲来が予見可能であったとする群馬・福島(生業(なりわい)訴訟)・京都・東京の4地裁判決に押され、長期評価も不十分だったとの展開に切り替えた。

 報告集会で古川元晴弁護団長は「確立された段階でないと予見できないというのは、事故が起きてみないとわからないと言っているに等しい。“絶対的安全性”を振りまいて原発を稼働推進してきたのは国・東電。それが今度は“相対的安全性”で見ていかねばと言う。科学的な説明ではない」と切って捨てた。

 原告の元双葉町長・井戸川克隆さんは「津波は南側からではなく正面から来た、と長期評価を批判するが、事故前にそう説明したか。あんたがた、わかっていたなら事故前に早く言えよ、と強い怒りを覚えた」と語る。

 井戸川裁判を支える会共同代表の木村結さんは命を粗末にする安倍政権を批判した。「西日本豪雨災害のさなかに自民党幹部の大宴会。オウム7人を処刑した上川法務大臣が締めの万歳三唱をやった。異常な神経で信じがたい」

 次回は10月10日。

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