2018年08月03日 1537号

【イラクと日本 中東を緊張させる戦争屋トランプ イラク民衆と共に戦争政策NO】

イラン核合意を離脱

 2018年5月、トランプ米大統領はイランの核開発計画抑制のために結ばれたイラン核合意(2015年)を「史上最悪の合意」と非難して離脱。さらにイラン産原油の輸入を取りやめるよう欧州や日本などに要求している。

 トランプ政権は、朝鮮との首脳会談を実現し、米朝交渉と朝鮮半島の非核化を進める一方で、中東では核戦争の危険性を高めようとしている。

 トランプの狙いは、世界最大の産油地帯である中東でイランへの圧力を強め、イランを支えるロシア・中国との力関係で優位に立つことだ。米国による圧力強化は、イランの民衆にとって何の利益にもならない。イラン・イスラム共和国は「米国の圧力」を口実に市民の権利や労働組合の弾圧を強めるだけである。

 しかし、トランプに対する怒りは世界に広がっている。7月12日、訪英したトランプに対してストップ戦争連合などがロンドンでデモを開催。25万人が戦争屋、人種差別主義者、性差別主義者、移民攻撃、人権破壊のトランプを厳しく糾弾した。15日には、米ロ首脳会談に訪れたフィンランドの首都ヘルシンキでも1万2千人が反トランプ抗議デモを展開した。

 一方、シーア派イスラム政治勢力が支配するイラン、それを支えるロシアなどは、米国との対抗関係でイラクへの影響力強化を進めている。

イラク政府の弾圧強化

 現在のイラク・アバディ政権はシーア派イスラム政治勢力が実権を握る。アバディは、社会サービスの切り捨てや賃金カットに対する市民の不満を暴力的に弾圧している。7月8日、イラク南部バスラ北方の町クルナで、デモに参加していた若者が政府の治安部隊に射殺され3名が負傷した。デモを呼びかける活動家に対する家宅捜索、不当逮捕、さらには暗殺といった手口まで横行している。

 このイラク政府と癒着して利権をむさぼっているのが日本企業だ。最近でも、三菱商事は国際協力機構(JICA)の円借款で110億円のバスラ港改修工事を受注。豊田通商も港湾作業船2隻を54億円で受注。伊藤忠商事などは西クルナ油田権益の約20%を605億円で獲得している。

民衆はデモで抗議

 イラクでは市民の闘いが続いている。現在、若者の失業者増に加え、水道水に塩分が混じり、摂氏50度の真夏にもかかわらず電気が来ずクーラーも使えない。福祉も社会サービスも崩壊状態だ。怒った市民が各地で抗議デモを繰り広げている。

 7月8日以後、バスラでは市民数千人がデモを展開した。この動きは首都バグダッドやナジャフ、カルバラなど全国各地に広がっている。

 イラク労働者共産党は、アバディ政権に対し、弾圧行為中止とすべての逮捕者即時釈放を要求している。「闘いと抗議行動を実行し、抗議する隊列を強化し、あらゆる形態で自らを組織し、連帯を強化しよう」と訴えている。

 イラク民衆と連帯し、イラン、イラク、中東全域での戦争政策を止めよう。安倍政権による腐敗政権への援助を中止させ、グローバル資本の利権獲得策動をやめさせよう。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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