2018年10月19日 1547号

【教育無償化プランを市民の手で/くらしに憲法を!タウンミーティング/横浜・鶴見】

 政令指定都市で唯一中学校給食のない横浜市。学校給食無償化・中学校給食実施を出発点に「子どもが豊かに育つまち・横浜」へ、と願う市民が10月7日、同市鶴見公会堂の会議室に集った。

 「平和と民主主義をともにつくる会・かながわ」が重ねてきた「くらしに憲法を!タウンミーティング」の6回目で、神戸大学教授(教育行政学)の渡部昭男さんが「教育無償化はまちづくりのカギ〜よこはまプランを市民でつくろう〜」のテーマで講演した。

 「まだ知らない人が多い。広く知らせてほしい」と渡部さんが取り上げたのは、国際人権A規約(経済的・社会的・文化的権利に関する国際規約)の「2012年転換課題」。日本は79年に同規約を批准した際、13条2項(b)(c)の「中等教育・高等教育の漸進的無償化」については留保していたが、民主党政権時代の12年9月、留保を撤回した。しかし、「世界に向かって高らかに無償化推進を宣言したのに、12年末の政権交代の後ほったらかしにされ、ごくわずかな給付型奨学金がスタートしただけ。ここを何とかしないといけない。進むべき方向は条約の中にある」。

 義務教育についても、憲法26条2項の“無償”規定は、授業料をとらなければいいというものではなく「教育を受ける権利に対応して義務教育費をすべて無償化していくべき」とする学説を紹介。山梨県早川町や京都府伊根町など、修学旅行費や給食費なども含めて完全無償化する動きが地方で拡大している。兵庫県明石市は、貧困家庭だけでなくすべての子どもを支える“普遍主義”の施策で若い世代を呼び込み、「人口V字回復」を達成した。「明石市は人口29万。鶴見区とほぼ同じ。みなさんも訪ねて参考にしてください」と渡部さんは勧める。

「対話で旋風おこそう」

 参加者からの「市民に情報が出てこない」「議会はオール与党状態。どう働きかけたらいいか」といった質問には、「教育委員会の月1〜2回の定例会や首長と教委による総合教育会議を傍聴することも有効」「区内の大学・短大・専門学校の学生たちと対話する中からヒントが出てくるのでは」「アメリカでは州立大学の無償化などを掲げ、サンダース旋風が吹いた。中間選挙の予備選でも旋風が起きている。イギリス労働党も学費無償化政策で若者層の支持を集めた。若者の関心が施策につながれば、旋風が吹く。そのためには座して待っていてはだめだ」とアドバイスした。

 「ともにつくる会」代表・青島まさはるさんは「鶴見区内で訪問活動中、『うちは関係ない』とドアを閉めた家からしばらくして若いお父さんが出てきて『これいいね。給食無償化、絶対やってほしい』。この声は大きい。ところが横浜市は9月、小学校給食費を4000円から4600円に引き上げた。市独自の給付型奨学金もない」と横浜市政変革への決意を述べた。



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