2018年10月19日 1547号

【みる…よむ…サナテレビ(499)2108年10月6日配信 イラク平和テレビ局in Japan/労働者の社会的役割とは】

 イラクの労働者は、高い失業率と無権利状態に苦しんでいる。イラク国民の貧困率は31%におよび、その大部分は労働者といわれる。2018年8月、サナテレビは労働者の権利と労働組合の役割についてインタビューを行った。

 占領以前から厳しかったイラク労働者の生活は全く改善されていない。失業率も高く、ほとんどの労働者が無権利状態のままだ。ある労働者活動家は「この原因は、2003年のイラク戦争と占領、そしてその後の歴代政府が、食用油も、化学肥料も、セメントも、工場を再開しなかったことにある」と指摘する。

 閉鎖された工場はほとんどが政府経営の公的企業だった。もう一人の労働者活動家によれば、2003年5月から翌年6月までイラクを占領支配した連合国暫定当局(CPA)代表ポール・ブレマーが多数の国営企業を閉鎖し、大量の失業者を生み出したことから問題が始まっていると言う。

 労働者の窮状は公企業の意図的な閉鎖による大量失業が元凶だ。占領が終了して何年もたっているが、「今なお200以上の工場が稼働していない」という実態だ。労働者にとって、新たな常勤雇用はほとんどなく、単純なサービス業しか仕事がない。

権利要求の先頭に

 公的企業の廃止、正規雇用の減少などによる労働者の権利制限という問題は、グローバル資本が支配する世界中でみられる共通の現象でもある。

 では、このイラク社会の中で、展望はあるのだろうか。労働者活動家は「労働者階級は、労働組合と市民社会組織で自らの役割を果たさなければなりません」と主張する。厳しい生活状況に追い込まれているからこそ、労働組合を作って「現在の悲惨な状態を変革する民衆の参加を促進し、福祉社会と市民社会を建設し、宗派による権力の分配体制を終わらせよう」と社会変革の闘いに乗り出すことを訴えている。

 2018年7月から8月、南部バスラや首都バグダッドで水道や電気さえ止まっていることに対し、市民が大規模な抗議行動を起こした。この闘いに労働組合が積極的に参加している。サナテレビは労働者が様々な権利要求の先頭に立とうと呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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