2018年10月19日 1547号

【住宅問題で政府・福島県・東電交渉 公害被害者と原発被害者が共同で】

 全国公害被害者総行動実行委員会とひだんれんなど原発事故被害者3団体は10月4日、参院議員会館で国と福島県、東京電力を相手に避難者住宅問題・トリチウム汚染水問題を主なテーマに共同で交渉を行った。

 原発被害者団体が求めた住宅要求は「避難指示解除区域の避難者への住宅無償提供継続」「区域外避難者への民間家賃補助の継続」「希望する避難者への公的住宅の確保」。福島県は避難指示解除区域を含めた来年3月のすべての住宅支援策打ち切りに固執し、「このままでは路頭に迷う避難者が出るのは明らか。どうするつもりか」との追及に「ていねいに個別対応をする」と繰り返すだけだ。

 住宅打ち切りの影響も、避難先にとどまる世帯(帰還率は低い)の行き先も把握できていないが、来年3月打ち切りの結論だけは決めている。南相馬市小高区から横浜に避難中の村田弘さんは「そればかりか内堀知事は帰還困難区域にまで手を付け、再来年3月で打ち切ると発表した。帰ってはならない場所なのに、避難先での住宅提供は打ち切る。こんな理不尽は誰が見ても許されない」と職員をにらみつけた。国も県も説明・反論しなかった。

 田村市から東京に避難中の熊本美彌子さんは、公営住宅入居要件の壁に阻まれ応募資格すら奪われるケースが多い実態を示した。国土交通省は「(公募によらない)特定入居は法の定めがあるが、(困窮度の高い世帯の)優先入居は収入要件と住宅困窮要件のみ。そのほかの条件をつけるかは自治体の判断次第だが、避難者の入居の足かせにならないようにしてもらいたい」と見解を述べた。

 トリチウム水の海洋放出に関して資源エネルギー庁は「公聴会ではタンクにためる意見が出ていた。現時点で処理方法は決めていない。小委員会で詰める」と検討を示唆。東電原子力センター副所長は「2020年までは敷地内のタンクで保管できる。国の方向性を見てから適切に対応したい」と答えた。双方ともトリチウムなどの核種の「安全性」を説明できるほどの自信はない。

 原発依存の批判に対し東電は「原発は費用が安くて、CO2も出さない」。「破綻した論理。まだ懲りないのか」とひんしゅくを買った。

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS