2018年10月26日 1548号

【東京朝鮮高校 無償化裁判 10・30控訴審判決へ/継続する植民地主義との闘い/大阪の仇(かたき)を東京で】

 10月12日、「朝鮮学校の子どもたちに学ぶ権利を!2018東京集会」(朝鮮学園を支援する全国ネットワークなど3団体主催)が開かれ、280人が参加した。

「四・二四教育闘争」

 明治学院大学教員の鄭栄桓(チョンヨンファン)さんが「『四・二四(サイサ)教育闘争』が問いかけるもの―歴史と現在の架橋のために」と題して講演した。

 「四・二四(サイサ)教育闘争」とは、1948年、朝鮮人設立学校に対する閉鎖命令の撤回と民族教育の「自主性」承認を要求して展開された闘争および同年4月24日の一斉検挙に始まる大弾圧への抗議・犠牲者追悼と救援・真相究明の活動をいう。「四・二四」を記念する意義は2点ある。

 一つは、弾圧としての「四・二四(サイサ)」。植民地主義・同化主義が戦後も継続し、冷戦と分断の暴力が加わった。民族教育の否定は、高校無償化からの排除という形で今も続く。もう一つは、運動・抵抗としての「四・二四」。民族教育権意識が明確になり、朝鮮半島を含めて連帯が広がった。学校を自主的に運営する権利をかちとり、脱分断の時代を迎えて冷戦と植民地主義を解体していく闘いの出発点が「四・二四」だ、と鄭さんは未来を見据えた。

 大阪高裁不当判決(9/27)を許さない、と語るのは「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」の長崎由美子さん。昨年7月の大阪地裁勝訴判決を覆し、子どもたちの目線を全く欠いた差別判決だった。「肩を落とす生徒に『ごめんなさい』と声をかけると、『私たちにごめんなさいと言わないでください』。日本人として本当につらかった。でも、93歳の元『慰安婦』ハルモニが多額のカンパを持ってかけつけ、『明けない夜はない』と激励。大阪の仇(かたき)をぜひ江戸でとってほしい」と呼びかけた。

 在日本朝鮮人人権協会の朴金優綺(パクキムウギ)さんは、8月ジュネーブでの人種差別撤廃委員会日本審査に向けたロビー活動とその成果を伝えた。

人種差別撤廃委も勧告

 同委員会は、1965年に採択された人種差別撤廃条約に基づいて70年に誕生した最古の条約機関。18人の個人専門家が政府報告書を審査し、勧告を出す。今回の日本審査では複数の委員が「朝鮮学校も当然、無償化の適用対象。この問題は歴史的な文脈で見るべき」「補助金カットを政府が自治体に命令してはならない」などと指摘。日本政府代表は「人種差別ではない」といった反論を試みたが、4年前に続き、無償化制度で朝鮮学校が差別されないよう求める勧告が「特別の重要性」を持つものとして明記された。

 東京高裁判決は10月30日(15時15分集合、16時開廷)。19時から北とぴあ(王子駅下車)で報告集会が開かれる。

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