2018年11月23日 1552号

【1552号主張 米中間選挙 トランプは敗北した 国際連帯で平和と社会変革へ】

左派、社会主義者の勝利

 「わたしたちの民主政治への戦いはジェンダーや人種差別に対する取り組みだけでは十分ではありません。核心は、階級の問題なのです」(「世界」12月号)。そう明言してきたプエルトリコ系のオカシオコルテス(民主党、アメリカ民主主義的社会主義者<DSA>)が、下院選ニューヨーク州14区で78・5%の得票で圧勝。ここに、今回の米中間選挙の意義が集約される。DSAは2人を初当選させ、「アメリカ社会主義運動が何世代もの後退ののち再生したことを示した」(DSA声明)。

 下院では過去最多となる100人の女性候補者が当選した(圧倒的多数は民主党)。初のイスラム教徒の女性下院議員が誕生し、マイノリティーも画期的な政治進出をはたした。下院で民主党は8年ぶりに過半数を奪還し、トランプ共和党は敗北した。メキシコ国境の「壁」建設予算案などは阻止される見通しで、大統領弾劾裁判も手続き開始が可能となった。

 民主党の前進を支え変革の波を起こしているのが、左派のバーニー・サンダース上院議員ら社会主義者たちだ。サンダースらは、今回の中間選挙で、上院1人、下院10人、州議会上下院36人の当選を勝ち取った。メディケア(高齢者・障害者向け医療保険)の国民皆保険化、公立大学無償化、連邦政府労働者のストライキ権復活などの政策を掲げるオカシオコルテスは、その象徴的な存在だ。

 米国民衆は、差別・排外主義をあおる共和党トランプ政治にNOを突きつけた。その先の社会変革の展望が、様々なマイノリティーの闘いと99%の市民・労働者の闘いとの結合にあることを、こうした躍進が示している。

戦争勢力とのせめぎあい

 米中間選挙だけでなく、朝鮮戦争終結に向けた動きなど民主主義と平和への世界的動きは劇的に進展している。しかし、戦争・排外主義勢力の反動的な策動も続いている。

 米国では朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)制裁維持と米朝会談妨害、韓国では国防部によるサードミサイル推進、正式配備がねらわれている。

 特に悪辣なのが日本の安倍政権だ。9条改憲、辺野古新基地強行とともに、韓国大法院元徴用工判決へのネガティブキャンペーン、対朝鮮独自制裁継続、さらには技能実習制度など蔓延する在日外国人差別・人権侵害を放置したままの入管難民法改悪をもくろんでいる。これらを阻止、撤回させなければならない。

民衆連帯で東アジア平和を

 今こそ民衆の国際連帯で東アジアの平和と共生社会をつくりだす時だ。中国・朝鮮・韓国への偏見と排外主義があふれるメディアの危機的状況の中で、市民・労働者一人ひとりと対話を重ね世論を動かすことが何より必要だ。

 米中間選挙でも、左派を支持する若者や女性が新たに戸別訪問の担い手となり前進を切り開いた。朝鮮戦争の事実上の終結や、植民地支配の不法を裁いた元徴用工判決の意義を語り、安倍9条改憲NO!3000万署名、東アジア平和署名をさらに広げよう。「東アジアに平和を!武力なき平和のためのスピーキングツアー」(12/9〜12/16横浜、札幌、那覇、広島、大阪)を成功させ、国際連帯で平和を切り開こう。

  (11月11日)
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