2018年11月23日 1552号

【朝鮮高校無償化裁判/またも不当判決 東京高裁/尊厳を守る権利闘争は続く】

 東京朝鮮高校生無償化裁判の控訴審判決(10/30)は一審判決を踏襲し、「無償化不指定の処分は違法とは言えない」と原告の請求を棄却した。高裁段階では大阪に続く不当判決となった。

 夜の報告集会には1100人が結集し、国家による差別を追及する広範な世論をつくっていこうと決意を固め合った。

 国は、不指定の理由を@朝鮮学校を無償化対象とする施行規則1条1項2号ハの削除A指定の要件(適正な学校運営など)を定めた規程13条に不適合―の2つとしていた。東京高裁の審理では、2つの理由の関係が問われ、裁判長自ら「国の主張には一貫性がない」と説明を求める場面もあった。李春熙(リチュニ)弁護士は「不指定処分の真の理由はハの削除=政治的外交的判断でしかあり得ない。高裁の審理はこの真実に迫っていた。ところが、最後の最後で真実から逃げた」と批判する。ハの削除より前に、規程13条不適合を理由とする行政処分が内部的に成立していた、との詭弁で朝鮮学校排除が正当化された。

 康仙華(カンソナ)弁護士は「朝鮮学校卒業生でもあるので、卒業生の立場から発言したい」と話し始めたものの途中何度も絶句。「朝鮮学校差別をなくそうと弁護士になったが、きょうまた後輩たちに私と同じ思いをさせてしまったことが本当に悔しい。今の日本社会で朝鮮学校の生徒の学ぶ権利の保障がこんなにも難しいことなのか」と声を振り絞る。

 師岡康子弁護士は「怒りと軽蔑しかない。行政処分の効力について最高裁判例にも反する屁理屈をもってきた」と指摘し、「最高裁で引っくり返すために頑張る」と述べた。

 男子在校生がマイクをとる。「またか、という失望感と脱力感。何を信じ、何を頼ればいいのか。確かなのは、闘い続けなければいけないということ。朝高生が当たり前に学び、笑って暮らせる日が訪れるまで、ともに闘い続けましょう」

 オモニ(母親)たちも発言。「2年後にオリンピックを控え、人権尊重条例が成立したばかりの東京で許しがたい差別が。この裁判は単に就学支援金を得る闘いではない。朝鮮人としての尊厳を守る権利闘争だ」「あまりにも日本には正義がない」「友好の架け橋となる子どもたちの未来を守るために最後まで闘う」

 行動提起は、東京朝鮮高校生の裁判を支援する会の長谷川和男共同代表。「力を合わせて日本の世論を変えていこう。一人ひとりが自分の住む地域、それぞれの活動の場で仲間を誘い、この運動を広げよう。13年2月にハを削除した安倍政権に対して怒りを結集し、来年2月、全国統一行動を成功させよう」と呼びかけた。

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