2019年02月01日 1561号

【首都圏なかまユニオン新年旗開き/外国人労働者とともに闘おう/指宿昭一弁護士が講演】

 「外国人労働者を組織し、ともに仲間として闘うことが、日本人労働者の労働条件改善にもつながる」。外国人技能実習生問題弁護士連絡会共同代表の指宿(いぶすき)昭一弁護士が、1月20日行われた首都圏なかまユニオン新年旗開きで講演し、こう訴えた。

 日本に暮らす外国人は約300万人。うち労働者は2016年約108万人、17年約127万人に上る。国籍は中国が約37万人。急速に増えているのはベトナムで24万人を超えた。働き先は、居酒屋やコンビニ、ファミレス、農業・漁業・食品加工・建築など。これらの分野はアジアからの「出稼ぎ」で支えられているといえる。

 在留資格では、どんな仕事にも就ける永住者・定住者は36%、在留期間が制限される留学(労働は週28時間まで)は20%、技能実習も20%を占める。就労系の場合、解雇・雇い止めによって在留資格が奪われる不安定な身分におかれる。

 「安倍政権は移民政策はとらないと言っているが、実態としては多くの外国人が働いており、分野によっては外国人労働者なくしてやっていけないのが現実だ」

 指宿弁護士は外国人支援活動の経験から、人権侵害の実態を報告した。

 岐阜の小さな工場の中国人女性実習生の場合、納期が近づくと明け方まで働かされ、数時間休むだけでまた仕事に就く。基本給は月4万円、残業代は時給300〜400円しか支給されない。基本給のうち2万円は“逃亡防止“のため強制貯金させられる。来日する際、借金して送り出しブローカーに約70万円支払っている。数十万円の保証金は、逃亡や組合加入、メディアへの告発があれば没収され、さらに違約金として約100万円の請求が連帯保証人の家族・親戚に届く。

 女性たちが労働組合に入り交渉を始めようとすると、報復の雇い止め。ワゴン車に押し込んで空港へ連れて行き、強制帰国させようと図った。組合が抗議し戻ったが、今度は社員寮のガス・電気を止められた。「和解金は得たが、日本への不信は消えないだろう」

 メッキ工場で働く茨城の実習生は「過労死」した。土・日も含め毎日深夜まで働いていた。社長は「残業は月25時間を限度にしている。問題はない」としたが、タイムカードが2種類あった。本物のカードに基づいて支払われた残業代は1時間300円。会社は深夜残業の発覚を恐れ、有機溶剤による害を承知でシャッターを閉め切ったまま実習生を働かせていた。「闇から闇に葬ってはならない」と証拠を探して労災申請し、実習生では初めてとなる労災認定を勝ち取った。

 名古屋の実習生は、機械で指3本を切断したが、労災隠しのため帰国させられた。ガードマンを雇い、「言うこと聞かないと刑務所に入れる」と脅して暴力的に空港に運ぶ例も。「これは犯罪だ。アジアの中で日本は優等だという差別が根底にあるのだろう」

 指宿弁護士は、技能実習生への最低賃金適用、残業代支払いといった基本的条件の実現を受け入れ議論の根本に据えなければならないと説く。

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