2019年02月22日 1564号

【みるよむサナテレビ(507)/2019年2月9日配信 イラク平和テレビ局in Japan/イラクの労働者階級の現実】

 イラクでは2003年の米軍による占領以来、労働者は大量失業と無権利状態に苦しんできた。18年11月、サナテレビは市民に労働者の状態についてインタビューを行った。

生活に追われ

 イラクは石油産業を始め、様々な工業が発展してきた国である。それを支えてきたのは労働者であり、その数も多い。最初に登場する市民は、労働者の現状について次のように語る。「労働者は貧しく、何の権利も保障されていない。それは政府のせいだ。支配者の考えることは、自らの利益を獲得することだ。反対に労働者は正しい道を歩んでイラクを発展させたいのだ」。労働者階級こそが生産力の主体であり「イラクと市民の利益となることを求めている」と言う。

 当然、社会の中に大きな影響力を持っているべきだ。ところが、特にイラクでは全く社会的影響力がない。それはなぜだろうか?2番目に登場する人は「労働者は賃金が低くて生計をどうやりくりするかに頭がいっぱいで、政治に関することは二の次になる」と説明する。イラクは石油の生産を始めとして国としての経済力は決して低いとは言えない。しかし非常に高い失業率と不安定雇用、低賃金という状況の中で、労働者は毎日の生活を送ることに精いっぱいとなっていると言うのである。こういう面は、日本の現在の労働者の状況とも共通すると感じられる。

民衆の声を代表

 実際、占領後の歴代政府は労働者を切り捨てる政策をとってきた。市民は、歴代政府が労働者と市民の利益にかなうことは何もせずに「ひたすら悲劇と苦痛と疎外を与えてきた」と厳しく批判している。グローバル資本と結託した歴代政府が労働者の賃金や労働条件を切り縮めてきたからなのだ。

 しかしこの状態にとどまっているわけにはいかない。市民は「労働者階級は民衆の声であり社会と他の階級との懸け橋であり続けている。労働者階級は、闘いを受け継ぎ、自分の考えと展望を持ってきた歴史がある」と述べている。サナテレビは、このような声を伝えて、労働組合を作り、イラクの労働者の権利を獲得し社会的地位を高めようと訴えているのである。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋) 
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