2019年04月05日 1570号

【議会を変える市民と変える/市民を貧困のどん底に突き落とすカジノ/青島まさはる(平和と民主主義をともにつくる会・かながわ)】

 林文子・横浜市長はカジノを中心としたIR(統合型リゾート)施設誘致を「横浜の持続的経済成長のため必須」として意欲を示していた。

 ところが、2017年7月に市長選を控えて一転「白紙に戻す」と慎重な姿勢に。市民の中にカジノ反対が多いからだ。しかし、ここ5年間でカジノ調査に4000万円を使ってきた。昨年安倍内閣がカジノ実施法を成立させた直後の8月、カジノ運営業者への説明会を開くなど、「白紙」の言葉とは裏腹に誘致に向け加速している。説明会にはラスベガス・サンズなどアメリカのカジノ運営会社が多数参加し、その後実施案を提出した。来年度予算にも1000万円の調査費が計上されている。誘致候補地の山下ふ頭の開発費は82億円に上る。そして、神奈川県知事選を前に黒岩祐治知事が横浜市のカジノ誘致を後押しする発言をし、カジノ問題が大きな焦点になってきた。

 カジノは賭け、博打(ばくち)だ。大量の敗者によって潤う仕組みであり、現行法で禁止されている。そういうものを横浜の活性化の柱に据えること自身が間違っている。厚労省の調べで、今でも日本はギャンブル依存症の人が320万人、成人の3・6%。アメリカの1・56%、香港の1・8%と比べるだけで、日本がいかにギャンブル天国であるかがわかる。1か月にギャンブルにつぎ込むお金は約5万円。カジノとなればその額はもっともっと大きくなる。家庭崩壊や犯罪増加など、深刻な社会問題を抱え込む。

 「白紙に戻す」と言いながら着々と誘致の準備を進める林市長。その背景には、横浜選出の菅義偉官房長官と安倍政治がある。カジノで潤うのはアメリカをはじめとするカジノ運営会社、ゼネコン、グローバル資本だ。

 しかし、昨年6月横浜市が実施したパブリックコメントは94%が反対。17年の神奈川新聞の世論調査でも賛成24・5%、反対68・0%とカジノ誘致反対は圧倒的多数派だ。今の横浜市議会はこの市民の声を反映するものになっていない。

 横浜市民を貧困のどん底に突き落とすカジノ。絶対に誘致してはならない。カジノ誘致反対を掲げる候補の勝利を勝ち取らなければならない。

 林市長は市議会で、カジノだけでなく、2026年には約600億円で「花博」を、そして金額も不明なオペラ劇場を、と大規模プロジェクト推進を表明している。今必要なのは、来年から少子高齢化の流れが一層大きくなる中で市民の教育・医療・介護・福祉といった生活関連部門を充実させることである。
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