2019年04月05日 1570号

【沖縄ジュゴンの1頭が死んだ 絶滅から救おう 埋め立て工事の即時停止を SDCCがジュゴン訴訟報告会】

 沖縄ジュゴンの1頭が死んだ。「絶滅から救おう」と呼びかけるジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)が3月17日訴訟報告&上映会を行った翌18日の遺体発見だ。SDCC松島洋介さんから会の報告と訴えが寄せられた。

 3月17日、大阪でジュゴン訴訟報告&ジュゴンを描いたドキュメンタリー映画『ZAN』上映会を開催しました。

 前半の映画上映に続き、後半はSDCC国際担当の吉川秀樹さんによる「ジュゴン訴訟報告会」です。ジュゴン訴訟は、米国の国家歴史保存法(NHPA)にもとづき、沖縄の真喜志好一さん、東恩納琢磨さん、米国の生物多様性センター(CBD)などが原告となって、米国防総省を相手に2003年、連邦地裁に起こした訴訟です。天然記念物ジュゴンを保護し、基地建設を止めることが目的です。15年間で勝訴、敗訴を繰り返してきました。

 原告の訴えは、(1)国防総省はNHPAの求める「(ジュゴン保護の)考慮の手続き」を履行していない(2)新基地建設のジュゴンへの影響を検証し、緩和、回避の措置をとれ(3)「考慮の手続き」に必要な利害関係者や地域との協議を、です。18年8月の差し戻し審でサンフランシスコ地裁チェン裁判長は、(1)国防総省が14年4月までに行ったジュゴンの影響への「考慮の手続き」は適切(2)「基地建設はジュゴンに悪影響を与えない」とした結論は恣意的ではない、と原告の訴えを棄却。この判決に控訴したのが現局面です。

 チェン判決は、14年4月までの「行政記録」のみで国防総省の裁量権を認めた一方、18年4月翁長雄志沖縄県知事が提出した「利害関係者としての協議」を求める要請書に言及せざるをえませんでした。

 控訴審では、(1)原告や地域住民との協議がない(2)国防総省は「ジュゴンは影響回避の行動をとるので影響がない」とするが「回避の行動自体が悪影響となりうる」と米海洋哺乳類保護法は定義している、などが原告側主張の中心です。しかし、2014年4月までの国防総省の「行政記録」にもとづいた判決への控訴審であるため、ジュゴン個体CおよびAの行方不明など、その後の事実を裁判の議論に基本的にのせられないという問題があります。だからこそ、控訴審にむけて沖縄ジュゴンの危機的状況を国内外の世論に訴える必要があります。

まさに絶滅の瀬戸際

 3月18日、沖縄県北部・今帰仁村(なきじんそん)で「個体B」とみられるジュゴンが遺体で発見されました。死因はまだ不明ですが、個体確認されている残り2頭は行方不明です。沖縄ジュゴンはまさに絶滅の瀬戸際にあります。訴訟原告でもあるCBDなど12の環境・動物保護団体は、米下院軍事委員会に辺野古の工事をすべて一時停止するよう書簡を提出しました。書簡は「(ジュゴンを絶滅に追いやれば)軍の最高機関に道徳的欠陥があることを示す」と述べています。

 「埋め立て工事を止めろ!ジュゴンを守れ!」の世論を今こそ高め、沖縄ジュゴンを絶滅から救いましょう。

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