2019年04月12日 1571号

【宮古島に陸自警備部隊配備/辺野古と同じ 安倍戦争政策を強行/決して「標的の島」にはさせない】

380人が先行

 沖縄は「辺野古」だけではない。3月26日、南西諸島・宮古島の上野野原(うえののばる)区に陸上自衛隊宮古島駐屯地が新設され、警備部隊380人が編成された。来年3月までには330人規模の地対艦・地対空ミサイル部隊が新たに編成される。警備部隊はそのミサイル部隊を防衛するために先行された。さらに防衛省は24日、敵の攻撃で宮古空港や下地島空港などの滑走路が破壊される事態を想定し、滑走路復旧部隊を新設することも発表した。

 つまり宮古島は、ミサイル部隊が敵の攻撃目標となり、戦闘が発生することを前提とした部隊配備が強行されているのだ。同地区には、既にレーダーによる監視任務にあたる航空自衛隊分屯基地がある。宮古島は、美しい青い海の島から「標的の島」に変わってしまった。


弾薬庫は手つかず

 新基地建設の完成式典「編成完結式」が26日、現地で開催された。宮古島の市民団体「ミサイル基地いらない住民連絡会」(連絡会)は、新設された駐屯地正面ゲート前で、早朝から集会を開いた。

 基地の黒い鉄柵に紫色の幟「ミサイル基地いらない」を十数本くくり付けた。「宮古島にミサイルNO」と書いた青いメッセージボードを首から下げ、早速、抗議のシュプレヒコールが始まった。

 「宮古に軍事基地はいらない」「宮古を戦場にするな」「ミサイル配備反対」「命の水を守ろう」「保良(ぼら)の弾薬庫建設反対」。島の中心部の野原区にミサイル部隊、最南東の保良区にミサイル弾薬庫の計画など島中を軍事要塞基地にしようとすることへの抗議の声を上げ、ゲート前でデモ行進をした。参加者は約40人。三線や基地反対の歌などが途切れることなく続いた。

 ゲート前の行動は建設工事が始まった2017年11月6日にスタート。この日は、数えて506日目になる。

 「てぃだぬふぁ島の子の平和な未来をつくる会」の石嶺香織さんや楚南有香子さん、当真まり子さんも駆けつけた。小さなメガホンを手に声をあげる。「警備部隊の任務は何ですか」「迷彩服で島中を歩かないでください」「鉄柵の上のコードは何ですか」「私たちを監視しているのですか」。怒りをもって次々と駐屯地に向かって問いただす。

 石嶺さんから「本土では宮古のことどうですか」と私にも質問が飛んできた。宮古島の自衛隊配備問題が辺野古のように取り上げられていないことや平和運動の広がりが出来ていないこと、反対しても新基地建設強行を止める手立てが見つからないことなど厳しさ≠ェ伝わってくる。「でも保良弾薬庫はまだ手付かず、これは絶対に止めたい」。まだ闘える、止められると元気よく語られた。「あきらめ」は、ない。

ウソを重ねて建設

 宮古島の自衛隊新基地は辺野古と同じように約束違反、違法工事で強行された。

 地域住民の祈りの場であった鎮守の森の御嶽(うたき)は、「残す」と言っていたのに、半分壊された。「井戸は埋めない」と言っていたのに、埋められた。宮古島は地下水で生活しているため、地下水の汚染を招くようなことはしないよう申し入れていたが、すでに400d分の燃料タンクが地下に埋設された。もし燃料が漏洩すれば地下水は汚染され、宮古島は住めなくなる。

 また駐屯地内には弾薬庫は置かないということだったが、すでに警備部隊用の弾薬庫は山のように盛り上がった芝生の下に完成していた。

 さらに駐屯地の地下に軟弱地盤が見つかった。これも辺野古と同じだ。防衛省のボーリング調査では、地下に1b以上の空洞があるところが3か所見つかっている。沖縄の島々は琉球石灰岩でできている。「人間で言えば骨粗鬆症。中がスカスカで、空洞のようになっているためもろい」と土木技師の奥間政則さんがよく語っている地盤なのだ。

意外な「検討します」

 連絡会はゲート前で、「田中広明隊長に抗議声明を手渡したい」と現場責任者に詰め寄った。「基地外で文書の受け取りはできない」と拒否、「基地内なら代表者数名に絞りたい」との判断が伝えられた。2時間の粘り強い交渉により、ついに警備部隊の児玉太郎副隊長がゲート前まで出てきて連絡会の要請に応じた。自衛隊幹部と市民団体との40分間もの青空交渉が実現した。

 「迷彩服を基地外でも着用することや、行進することは島民にとって不安を煽るので止めてほしい」という要求には、「検討させてください」と返事が返ってきた。意外にも柔軟な対応だった。できるだけ島民との間に、軋轢を生まないよう上から指示されていたようだ。

全国から支援を

 安倍政権は、辺野古新基地のみならず、高江ヘリパッドや伊江島補飛行場、オスプレイやF35Bなどの垂直離着陸可能な輸送ヘリやステルス戦闘機が訓練するための強襲揚陸艦の甲板を模した着陸帯「LHDデッキ」建設など、沖縄島をはじめ奄美大島から宮古島、石垣島、与那国島、さらに鹿児島県の馬毛島まで日米軍事一体化の基地化を強行している。

 そればかりではない。26日には東北の三沢航空自衛隊基地にステルス戦闘機F35B12機の配備を終えた。日米両政府は、日本全体を軍事基地化し、東アジアの平和を壊し緊張を高める危険な路線を突き進んでいる。

 宮古島では、4月7日に陸自警備部隊の隊旗授与式も行われる予定。抗議・阻止行動が「連絡会」から呼びかけられた。辺野古と同じように宮古島など南西諸島への自衛隊配備に反対する行動を全国で強めることが求められている。

(西岡信之/ZENKO全国事務局)

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