2019年06月21日 1580号

【みる…よむ…サナテレビ(521) 2019年6月8日配信 イラク平和テレビ局in Japan/3・8国際女性デーの取り組み/自らの力で社会を変える】

 2019年3月8日、イラクでは国際女性デーが大きく取り組まれた。サナテレビは、国際女性デーにあたって、女性たちに「女性への抑圧を一掃し、男女平等を獲得していくこと」について意見を聞いた。

女性は社会の基盤

 最初に登場する年配の活動家は「人間の歴史は、母親が社会の中心にいる時代から始まった」と、歴史における女性の地位について話す。人類の歴史の始めは、「女性が人間の集団の中心」であり「母親は人間社会の主人公だった」と言う。

 彼女は、中東ではメソポタミア文明の愛と豊穣の女神イシュタルや旧約聖書に登場するシバの女王バルキスが崇拝されていたと指摘する。日本でも平塚らいてうが「元始、女性は太陽であった」と述べたことを思い起こさせる。ところが私有財産の形成とともに男性優位の社会が作られ、女性の社会進出が阻まれていく。

 しかし、現在のイラクでは小学校から大学まで、女性が学ぶのが当然となっている。彼女は「女性は向上した地位を守り、社会の中心で立派な位置につく」と確信している。

 次に登場する活動家は「3月8日は、女性の自由の日であり、女性の民主主義の日」と国際女性デーを迎える喜びを語る。「地域社会を建設する時に、女性がいなければ社会は成り立たない」と女性の社会進出に自信を持っている。それとともに、「女性の権利が社会の基盤」であることに理解が及ばない男性もいることを指摘している。

 最後に登場する活動家も、米軍のイラク占領で社会が混乱し人びとの苦難が広がったにもかかわらず、「今日では女性が社会を築く中心的な役割を担っている」と明言している。

女性議員はわずか

 もちろん、女性にとっての課題の指摘も忘れていない。特にイラクの議会は女性議員の比率が低く、女性の権利を前進させるための法律もあまり作られていない。むしろ最近、一夫多妻制を認める法律が制定された。イラクではイスラム主義勢力が支配力を強め、女性に対する人権侵害が続いているのだ。

 その中でイラクの女性たちは3・8国際女性デーに取り組み、自らの力で社会を変えようとしている。日本からも連帯していきたい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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