2020年04月03日 1619号

【みるよむ(551)2020年3月21日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラク市民蜂起の学生と若者−最後の一人まで、学生はとどまり続ける−】

 2019年10月から始まったイラクの市民蜂起は2020年も続いている。この闘いの中で、学生と若者は大きな役割を果たしている。2020年1月、サナテレビはデモに参加している学生たちにインタビューを行った。

 インタビューはバグダッドの市民デモの現場で撮影されている。最初に登場する学生はデモ現場での混乱と当局の弾圧について語る。

 市民のデモは生活を守り政府の腐敗をただすというあたり前の要求だ。「だが、イラク政府は全く受け入れていない」と言う。

 政府当局は「学生はデモに入り込んだスパイだ」と宣伝し、他の市民との分断攻撃を仕掛けてきた。また、暴動鎮圧の機動隊がやってきて、デモの現場を離れて逃げ出す学生も出た。

 一方、参加者がデモに入り込んでくる政府側のスパイを見つけて殺してしまう事件もあった。イラク社会の混迷と抑圧を反映し、デモの現場は現在の日本では考えられないほどに厳しく、混乱している。

 しかし、多くの学生はけっして屈しない。この学生はバグダッドから400`離れたモスルから来たが、「抗議行動が1年間続いてもずっとここにとどまり続ける」と言い切る。

 もう一人の学生も、当局のスパイがデモの輪に入り参加者と食事をしたりすることを警戒している。

市民を支える学生

 彼は「タハリール広場や蜂起の場で、学生は市民を支える役割をしている」と説明する。「学生は最後の日まで、最後の一人がデモから引き揚げるまで、ここにとどまり続ける」と、はっきりと宣言する。

 イラクではアラウィ元通信相が首相候補に指名されながら結局組閣を断念し、3月になって別の国会議員が新たに指名される事態だ。市民と学生のこうした闘いが続いているからだ。日本からも連帯していきたい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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