2022年08月12・19日 1735号

【1735主張 カジノ住民投票条例案否決 反対から中止へ 闘いは今から】

民意無視の暴挙

 7月29日、大阪府議会はカジノ住民投票条例案を維新・公明の反対で否決した。同じ直接請求を行った横浜市3日間、和歌山市4日間の審議に対し、意見陳述30分、わずか半日の審議だ。

 午前の府庁前行動では200人の市民が「民意の尊重を」と訴える。傍聴者は議場に入りきれず、インターネット中継を注視した。

 意見陳述には6人が立つ。住民投票を求める会の山川事務局長は「住民意見を封殺することは許されない」「カジノに心を奪われ、大阪府民に向き合うことを全うできないのであれば知事失格だ」と追及。21万筆を担ったそれぞれが、ギャンブル依存症の家族を持つ苦しみや、大阪をバクチの街にするなの思いをぶつける。

 しかし、吉村知事は「議会で決まったこと。住民投票の意義は見出し難い」と繰り返すのみで何の道理もなく民意に背を向けた。

市民の運動はとまらない

 条例案は否決されたが、市民の闘うエネルギーはますます強まっている。「初めて府議会を傍聴し、維新のひどさを知った」と怒りの声があがる。同日、カジノ立地予定地夢洲(ゆめしま)の土壌対策費790億円を大阪市が負担するのは違法と5人が提訴。裁判闘争、議会での追及、意見書採択など運動はさらに広がる。

 国の認可も大きな焦点だ。IR整備法による審査の重要な評価基準に「地域の合意形成」がある。米マサチューセッツ州では住民投票で過半数を得ないと自治体はIR・カジノを設置できない。大阪でも公聴会で9割以上が反対、住民投票を求める署名21万筆で直接請求した事実は消せない。いくら議会の多数で押し切ろうとも、住民合意がないことは明らかだ。国に「認可するな」と求める中央要請行動も予定されている。

 来年4月は統一地方選。大阪市長選・府知事選がありカジノは最大争点となる。住民自治を実現する議会・首長に変えていこう。

維新も岸田もノー

 維新の政策の根底には、命・くらしよりグローバル資本、大企業のもうけ優先の戦争と新自由主義路線がある。岸田政権も同じだ。

 新型コロナで「新規感染者が世界最多」(7/27WHO<世界保健機関>)を記録し医療崩壊必至の中、政府は医療態勢拡充ではなく、公費支出削減へ感染症法上の「5類相当」への引き下げを狙う。また、安倍礼賛「国葬」から9条改憲・軍拡に突き進む。だが、今その姿勢に批判が広がりつつある。共同通信社世論調査(7/30〜7/31)で内閣支持率は51%と12ポイント以上急落した。安倍元首相「国葬」に反対は53・3%、統一教会と政界の関わりの実態解明が必要は80・6%だ。

 市民の運動を強め、カジノ・軍拡・改憲を共に進める維新と岸田政権にノーを突きつけよう。

 (8月1日)
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