2022年08月12・19日 1735号

【2022ZENKO 自治体変革分科会/命奪うコロナ無策を変える/地域の当事者の声あつめ】

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)in大阪の自治体変革をめざす分科会は、「政府の地方自治破壊許さず命と人権をまもる自治体を」と題して7月24日に開かれた。

 基調提案は「平和と市民自治のまち大津をともにつくる会」中川哲也さん。

 1日の新型コロナウイルス感染者が第6波の倍の20万人を超える感染爆発が到来する中でも、岸田政権は検査や医療の拡充はせず自宅放置拡大を推進する「無策」政策を継続している。

 政府のコロナ対策本部方針(7/15)は、「社会経済活動の維持」を最重点にし、ワクチン接種と手指消毒などの通常の感染対策のほかは、「安心して自宅療養できる体制」と「高齢者施設への医療支援」と保健所業務の外部委託などだ。臨時病院などの病床拡大や保健所の人員増など抜本的強化は一言もないばかりか、クラスター発生以外は行政として濃厚接触者の特定を行わず、濃厚接触者の隔離期間も最短3日に縮めることを決定し、コロナの感染症法上の分類を、インフルエンザと同じ5類相当へ引き下げる検討を始めている。

第7波も人災だ

 コロナ禍での医療や保健所業務のひっ迫は、政府の病床や保健所、医療従事者の政策的削減によってもたらされた。政府の「骨太方針2022」の感染症対策は、「一日も早い経済社会活動の正常化」をうたい、病床削減の「地域医療構想推進」が柱だ。病床拡充でなく削減のために入院制限を実施し、死亡率や重症化率が高く軽症でも後遺症を残すコロナを風邪≠ニ言いくるめ、医療ひっ迫解消を口実に検査や診療を事実上制限する。本末転倒の暴挙だ。

 政府は「重症者数や死亡者数は低い水準」(7/15)というが、大半が軽症と言われた第6波では、感染拡大から1か月遅れで連日100人を超える死者数が報告され、累計死者数の35%に相当する1万人が死亡している。第7波でも、すでに死者は100人を超え(7/26)、医師が入院を必要と判断しても入院できず、症状があっても検査が受けられない「検査難民」まで多く出ている。このまま放置すれば、第6波以上の死者を出す危険性がある。医療費削減と資本のもうけ優先の政策で市民の命を犠牲にしてはならない。

 基調では▽「いつでも、誰でも、何回でも、無料で」施設や個人への大規模・頻回のPCR検査体制確立▽入院制限撤廃▽臨時病院・病床など医療供給体制の拡充▽保健所の増設・増員など抜本的強化▽地域医療構想による病院・病床削減中止などを政府・自治体に実施させようと提起された。

デジタル化と闘う

 また、骨太方針は、資本のもうけのために自治体に対し徹底したデジタル化と行政の広域化を打ち出している。デジタル化は、自治体業務を国基準化して政府の情報システムへの搭載を強要する。その推進のために、マイナンバーの活用と行政の保有する個人情報を企業が活用できるように自治体独自の保護規定を廃止する。行き着く先は、自治体の自治を解体した政府の下請け機関としての広域行政体だ。このでたらめな政策を変えるため、地方自治をまもり市民の命と生活守り抜くことを呼びかけた。

市民派議員の倍増を

 討議では、土屋のりこ東京都足立区議が、業務委託による税金のムダ遣いや個人情報保護の改悪を許さない議会での取り組みを述べた。あるが精一日野市議は、市政の私物化と腐敗を追及し市長選での自治体変革の展望を発言。杉谷伸夫京都府向日市議は個人情報保護の取り組みを、山本よし子大阪府茨木市議はコロナ対策や病院誘致に関わって地域医療構想の見直しを求める活動などを報告した。横浜市、大阪府枚方(ひらかた)市・交野(かたの)市、西宮市、大津市からも、地域の当事者の声を突きつけて自治体を変えていく発言が続いた。

 最後に、ZENKOの重点決議にコロナ対策を加えること、来春の統一地方選挙で徹底的に市民の立場に立つ市民派議員を倍増させることを確認した。

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS