2022年08月12・19日 1735号

【2022ZENKO沖縄ジュゴン保護分科会/ジュゴンの棲むHope Spot(希望の海)/沖縄を二度と戦場にしない】

 玉城デニー知事不承認を支え、ジュゴン保護と埋め立て工事中止≠ノ向けた分科会の基調テーマは「ジュゴンの棲(す)むHope Spot(ホープスポット 希望の海) 沖縄を二度と戦場にしてはならない!」。

 6月22日、沖縄県西原町で、ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)共同代表・海勢頭(うみせど)豊さん作詞作曲の歌『月桃』の歌碑除幕式が開催されました。歌詞の一節「変わる 果てない 浮世の情け ふるさとの夏」は、沖縄戦の記憶もいつか揺らぐ時が来るかもしれない。しかし「戦争は絶対にいけない」という信念を貫くことが、沖縄戦で亡くなった方への鎮魂になる、という海勢頭さんの思いを込めたものです。

 2019年10月、名護市東海岸の44・5平方`が海洋自然保護団体ミッションブルーによって日本初のHope Spotに認定されました。辺野古大浦湾の貴重な自然環境を世界が認めました。

 沖縄防衛局のもとにある「環境監視等委員会」の委員3名を含む5名が専門誌『Scientific Reports(サイエンティフィック・リポーツ)』に「ジュゴン絶滅論文」を投稿。IUCN(国際自然保護連合)は「絶滅したとする主張は信頼に値しない」と否定しました。また、IUCNは米軍基地建設による海草藻場(うみくさもば)の消失を懸念すると警告しています。

 玉城知事は昨年11月、沖縄防衛局の設計変更申請を不承認としました。軟弱地盤改良工事の技術的困難性と環境影響、船舶水中音のジュゴンへの影響が不承認理由の中心です。防衛局は「ジュゴン絶滅論」などで不承認理由を切り崩そうとしてきましたが、国際的な批判を浴びています。

 現在、行政不服審査法を悪用した国土交通大臣の不承認取り消し採決、国地方係争処理委員会への沖縄県の訴え却下、今後は訴訟に向かう見通しです。政府は不承認の内容議論を一貫して避けています。だからこそ不承認の理由を広く知らせるキャンペーンが裁判においても重要です。

知事選も国際的闘いも

 また、辺野古新基地を止めることが、琉球弧のミサイル基地化を止める闘いとひとつであると強調されました。2021年11月には、「台湾有事」を想定した自衛隊3万人と米軍5800人で統合演習が行われました。自衛隊幹部は「住民の避難計画は自治体で」と明言しています。「台湾有事」は第2の沖縄戦。沖縄県民には危機感が広がっています。しかし、本土ではまだまだ共有されていません。日米共同演習は沖縄だけでなく全国規模で行われています。本土で辺野古新基地中止、沖縄の島々のミサイル基地化を止める運動を強め、9月の沖縄県知事選、名護市議会選挙に勝利しようと確認しました。

 基調に続き、国際担当の吉川秀樹さんより辺野古を止める国際的取り組みの報告。特に米国CBD(生物多様性センター)と協力した米連邦議会への働きかけや、やんばる(沖縄島北部)を真の世界自然遺産にする取り組みを強めると報告がありました。

 質疑では、沖縄と本土の危機感の違いについて議論になりました。玉城デニー知事の不承認を支持し、Hope Spotを守るキャンペーンを通じ、本土の市民に現実を知らせ、沖縄とつながった運動を大きくしていこうと確認しあいました。 (SDCC・松島洋介)

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