2022年08月12・19日 1735号

【2022ZENKO ODA分科会 ウクライナ危機口実に軍拡と結ぶ拡充反対 ODA廃止から新たな連帯へ】

 日本政府はODA(政府開発援助)を通じて軍事援助≠進めている。ODA問題分科会は、「ウクライナ危機を口実にした開発援助大綱見直し、軍拡と結ぶODA拡充に反対し、ODA廃止」を目指していく運動方針を確認した。

ODA廃止の意味

 コアネット(戦略ODAと原発輸出に反対する市民アクション)事務局長の三ツ林安治さんは、基調報告でウクライナへの6億ドル借款支援を「事実上の戦費支援」と批判。コアネットが参加した6月17日のZENKO中央要請行動で外務省は「6億ドルはODAであるが、交換公文に戦費充当しない旨記載されている」と回答した。三ツ林さんは「この借款自体は戦費に使わないとしても、これによって生じる財政余力を戦費に使う可能性が高い。ウクライナ戦争を長引かせる援助は人びとのためにならない」と「6憶ドル供与」反対と即時停戦を訴えた。

 コアネットの石橋和彦さんは「ODA廃止の意味を考える〜援助から連帯へ」と題して報告。石橋さんは、現在のODA大綱(2015年改定)に批判の声を強める。「民生目的、災害救助非軍事的目的の開発協力に相手国の軍又は軍籍を有する者が関係する場合には、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討する」としているが、どのような検討≠しているのか。2021年に人道支援・災害救援協力の名目で、防衛省・陸上自衛隊は、ODAを活用して自衛隊が使用する装備をフィリピン陸軍に供与している。

 軍事との強い結びつきとともに、被援助国政府の不正・腐敗の問題も提起。ODAを媒体に日本政府・商社も関与している。

安倍国葬中止も訴え

 軍事と不正・腐敗が横行するODAは廃止しかない。「政府対政府の援助を解消させる(ODAではなくなる)。そして政府からどこへお金を出すか、どのように使われるかを検討する。必要な人に直接届く援助の流れを一から考え直す」と、ODAではない新たな方法を編み出すことを石橋さんは訴える。

 ODAではなく、寄付で主に運営するNGO「日本ビルマ救援センター」の中尾恵子さんが、「ミャンマー(ビルマ)避難民支援」を報告。「私たちの団体は30年以上の実績がある。皆さまからいただいた資金は現地で有効に使われている」と強調した。現地の団体に資金を提供し、水中ポンプ・食料・毛布などの支援につながっている。「ウクライナ危機以降、ミャンマーのことはほとんど報道されない。ミャンマーのことを忘れないでほしい」と中尾さんは切に願い、クラウドファンディングなどへの参加を呼びかけた。

 岐阜女子大学客員研究員ティンウィンさんは、国軍の暴虐行為によるミャンマーの人道的危機を克明に報告した。さらに、「最大のODA供与国である日本は、軍事政権との経済関係を維持している」と非難。日本企業はODAを利用して軍政に協力している。即時撤退を求めて圧力をかけていく運動を訴えた。

 ティンウィンさんは、安倍晋三元首相の国葬にミャンマー軍事政権を招待することに驚愕した。分科会は、国葬中止はもちろんのこと、ミャンマー軍事政権招待への反対署名、政府への要請を行動決議に記した。



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