2022年08月12・19日 1735号

【2022ZENKO 労働運動分科会 私たちにはユニオンが必要だと確信 日韓オンラインで労働問題を討議 御堂筋デモへ】

 韓国では、尹錫悦(ユンソンニョル)政権への交代以後、雇用柔軟化の名の下の労働強化、公共部門のリストラと民営化が進んでいる。7月18日、2022ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)のゲスト、韓国「ともに生きる希望連帯本部」ク・チョルフェ社会連帯室長とオンラインでつなぎ、韓国の現場の闘いを学んだ。

 希望連帯本部は、民主労総の産別の一つである公共運輸労組に所属し、18の支部があり組合員は6千人。主にケーブル放送や通信社のTV・インターネット設置義技士、コールセンター相談員、放送制作スタッフなどの組合員が多い。労働者の権利を守る労働組合としての活動のみならず、地域住民との連帯活動に特色があり、16年からZENKOで交流している。

直接雇用を勝ち取る闘争

 20年初め、ケーブル放送大手であるSK企業がTブロード社を買収した。T社の非正規労働者は買収により、SK企業の下請けの非正規労働者となった。今年5月、その下請け会社が組合員15人に対しリストラを通知した。元請けSK企業は、リストラを断行する下請けに奨励金を出している。組合員らは5月からリストラ撤回と元請けの直接雇用を求め、SK企業の社前で占拠闘争を行っている。

 ク・チョルフェさんは、宅配の仕事をしながら夜図書館で過ごす生活をしていた。図書館で希望連帯本部に関する本を読んだ時、自分のしたい活動はこれだ、と3年前に加入した。労働者の賃金闘争だけではなく、社会的な問題に取り組み、地域住民として活動し「ともに生きる」ことをめざす姿に魅力を感じた。現在、社会連帯室長として、性マイノリティ、障害者の運動との連帯、気候変動危機への取り組みなどを企画し組織する役割を担っている。


日本でも同様の攻撃

 東リ偽装請負争議に見られるよう、非正規労働者を使い捨てようとする資本は、日本も同じだ。

 ZENKO労働運動分科会(7/24)は、日本の闘いを韓国に紹介する場となった。

 今年6月、最高裁が東リの上告の不受理を決定。大阪高裁が東リの直接雇用を認めた勝訴判決が確定した。しかし、L.I.A.労組有田昌弘さんは「まだ職場復帰が確定したわけではなく東リには反省の色がない。判決の意義を社会的に広げ、団体交渉を通じて必ずや職場復帰する」と述べた。

 首都圏なかまユニオンは、Amazonの宅配をしている組合員Aさんの例を紹介した。四次下請構造の中、Aさんは個人事業主とされている。たとえ月に25万円収入があったとしても半分近くが「経費」として三次下請け会社に抜かれてしまう。しかし、実際はAmazonアプリで管理されながら二次下請けに当たる運送会社から指揮命令を受けていた。この運送会社は別件で埼玉県春日部労働基準監督署から今年5月、労働基準法違反で是正勧告を受けている。「業務委託契約」を結んだ三次下請け会社との団体交渉にとどまらない取り組みが必要になる。

 宅配需要の急増の中、直接雇用を避けて利益をあげようとするAmazonとその下請けの運送業者。配送料無料(タダ)には裏がある。ユニオンには同業者の相談が集まっている。

 その他、本紙前号で紹介したワツコ争議など若者のパワハラ解雇の闘いや、介護労働現場での組合結成と労働条件改善の取り組みなどが、大阪、東京、ソウルをつないで話し合われた。

楽しくデモ

 ZENKO後には、若い組合員らを中心に大阪心斎橋から難波まで御堂筋デモ。「ねーちゃんがセクハラにあったら、とーちゃんがリストラにあったら なかまユニオンで検索〜!」。大阪弁の親しみやすいシュプレヒコールは、通行人や界隈の店員の注目を集め、手をふる人も。私たちがともに生きていくために労働組合(ユニオン)が必要だ。参加者はそう確信した。

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS