2022年12月09日 1751号

【みるよむ(640)2022年11月26日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラク・マリキ元首相による武力抗争の準備】

 イラクでは2021年10月の総選挙以後、サドル派やイラン支持勢力などの対立で政府が発足しない事態が続き、宗派私兵による暴力的な対立も深まっている。

 その中で、シーア派勢力のマリキ元首相が武力による権力奪取を狙い、イランとも連絡し合っていたことが暴露された。2022年9月サナテレビがこの事件をレポートした。

 アメリカ在住のブロガーのアリ・ファデルさんは、2019年の10月市民蜂起の時から市民の民主化要求の闘いに連帯してきた。ファデルさんは、マリキ元首相の48分間分にわたる会話音声をツイッター上で公開した。

 そこでは、市民蜂起が高揚していた時期のマリキの次のような会話を聞くことができる。

 「ムスタファ・アル・カゼミ首相から電話があった。私は『次の段階は戦闘に入る。誰もが自分自身を守るのだ』と言った」

 さらにマリキの肉声が流れ、事態が明らかになる。

 「私は大衆動員運動(政府のシーア派私兵)に頼ることはない。そして、軍隊と警察にも頼る必要はない。武器が必要だ。誰もが自分で自分の身を守るのだ。…私はイランの情報大臣と話したが、皆、我々に同意している。しかし最終的には、クドス部隊(イランの対外軍事支援活動を担当)のカーニ司令官の手に委ねられると言っていた」

恐るべき権力者の残忍

 マリキは、2006年から2014年までイラクの首相だった。その彼が市民の血を流すことになる戦闘へ武器の準備をし、イランと連絡を取り合っていた。恐るべきことだ。イラクの権力者たちがどれほど残忍か、また、市民の命など何も考えていないことが暴かれたのである。

 サナテレビはシーア派やイラン支持勢力の弾圧に屈しないジャーナリストと共にこうした策動を許さない闘いを呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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