2001年03月09日発行680号

【ムダの極致 揚水発電ダム】

 純粋の公共事業ではないが、電力会社や電源開発による揚水発電ダムはまさにムダの極致だ。

 揚水ダムは、上下二つのダム湖がセットで、夜間に下から水を汲み上げ、昼間の電力需要ピーク時に上から落として発電する。ところが揚水発電は、消費した電力の三〜四割の電力しか発電しない。

 なぜそんな不効率なものがつくられるのかといえば、原発が出力を調整できないためだ。夜に発電した電気は余るので、わざわざ揚水で消費し、昼のピーク時のためだけに備えているのだ。だから、揚水発電の設備利用率はたったの七%、その発電量は全発電量のわずか一・四%を占めるにすぎない(九四年)。

 にもかかわらず、次から次へと揚水発電ダムがつくられている。しかも貯まった水を何度も使うので、高低差さえあれば水量は少なくてもいい。そこで、ダムの建設場所はどんどん上流へと溯り、人里離れた場所にしか生息しないイヌワシやクマタカなど希少生物の生存を脅かしている。

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