2002年05月10日発行738号

【ブッシュの戦争政策にノー バークレーの草の根グループ(上) 多様なアプローチ】

 米国西海岸、サンフランシスコ湾を中心としたベイエリアは、多くの活動家が集まる地域として知られている。サンフランシスコで四月二十日に行われたパレスチナ連帯行動にも五万人が集まった。全米で唯一ブッシュのアフガニスタン空爆に反対決議を上げたバークレー市に、集会の成功を支えた草の根グループを訪ねた。

 集会前日の十九日朝、カリフォルニア大学バークレー校から西に伸びる大学通りに面した喫茶店で、軍事費納税拒否運動の代表の一人、スーザン・キンランさんに話を聞いた。

 軍事費納税拒否運動には、ベイエリアだけで数百人、全米で一万人近い賛同者がいる。拒否した税金を基金にし、平和・福祉団体などへのカンパ活動を中心に運動を広めている。納税を拒否すれば、当然政府は銀行口座や車など私財を差し押さえる。「場合によっては仕事にも就けないし、口座も持てなくなる。人生を変える必要もあるでしょうね」。83年から運動をはじめたキンランさんは全額拒否している。一部でも納めれば、その中から軍事費にまわってしまうからだ。

米国のイスラエル支援に
抗議(4月20日)zoom up!!
写真:パレスチナ国旗を打ち振り、プラカードを捧げて道いっぱいに広がりデモするバークレー市民

 9・11テロの影響は、との問いに、「戦争反対の運動だから基本は変わらない。でも、最近、いろんな人やメディアからの問い合わせが増えている。人々が気づきはじめたのだろう」と答えた。「明日の集会も運動を広めるチャンス」と集会へ期待をよせる。

いい話を一つ

 次に話を聞けたのは、キリスト教者平和団体のキャロライン・スカーさん。

 この団体はベトナム戦争時、オークランド市にある陸軍入隊所前で除隊を呼びかける聖職者などの運動からはじまった。今はキリスト教以外の宗教者も参加している。スカーさんは99年からイラクに対する経済制裁に反対し、毎週火曜日、オークランドにある連邦政府庁舎前で抗議行動をしている。「日本や欧州の平和運動が手をつないで広がれば、それぞれの政府も米政府を支持するわけにはいかないでしょう」と共闘の必要性を強調した。

 「いい話を一つ紹介しましょう」とうれしそうに話を継いだ。「抗議行動の時、9・11の犠牲者の遺族と出会った。最初、すべての人を殺したい気分だと話していた人が、次の週、『わたしの悲しみが政府に利用されていることがわかった。ありがとう』といってくれた」。イラクでは医薬品がなく毎月五千人もの子どもたちが死んでいくことや、瓦礫に埋もれる子どもの写真を見せ、話し込んだ結果だった。

政府の妨害

 午後、仏教徒平和団体の事務所を訪ねた。代表者のシビル・ショルツさんが待っていた。死刑廃止に向けカリファルニア州知事への請願が当面の運動課題だ。賛同署名は十万の目標で六万筆が集まった。eメールのおかげだという。事務所には十二台のコンピュータが並んでいた。

左からシビル・ショルツさん、
スーザン・キンランさん、
キャロライン・スカーさん
写真:左からシビル・ショルツさん、スーザン・キンランさん、キャロライン・スカーさん顔写真

 「パレスチナの問題は、互いに相手の意見を聞かないから」と宗教者としての立場を述べた。「石油の確保の上では中東紛争は好都合。アマゾンやアフリカの文化を破壊し、石油資源を持ち帰るのが米国だ。自己中心的な行動が紛争を引き起こしている」。

 電話が鳴った。「“4・20のワシントン集会には来るな。テロに狙われて危険だ”と政府が情報を流しているそうだ」。ショルツさんは、あきれ顔で電話の内容をあかした。

 *   *   *

 バークレー市に限らずベイエリアには、平和団体・草の根グループが数多く存在する。その数は千にものぼるという。4・20の集会にはそれぞれの団体が、ブッシュの戦争政策を阻止しようと参加した。(続く)

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